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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 さっきまでニコニコでブレスレットや絵を売りつけてきていたおじさんたちも豹変した。

 私を責めるように人が集まってくる。

「ちょっと!! どうしてくれるんだ!」

「俺達の安全な街がライオンに脅かされたじゃねえか!」

「貴女、自分のした事の大きさ分かってるの?」

「誰か今すぐこの女を捕らえてちょうだい!」

「ライオンが街に放たれるなんて冗談じゃないわ! うちの子がもう街を歩けなくなったじゃない!」

「異国の女が! お前さてはスパイだな?」

 ……まずいわね。

 皆さん、相当カンカンだわ。……説明したところで通じなさそうだし。

 自業自得ね。あまりにも目立ちすぎ過ぎたわ。……けど、流石にこの人数相手は結構きつい。逃げたくても、身動きが全くとれないもの。

 ここで何か言い返しても、余計にヒートアップしてしまうだけだし……。

 転移移動魔法を使っても、デュルキス国ってバレて、国際問題になりそうだもの。

 あ~~もうっ! どうしたらいいのよ~~!

 私は空を見上げながら、心の中で盛大に叫んだ。

「……え?」

 空を見上げていた瞬間に私は誰かの手によって引き寄せられ、人込みに紛れてこの場を立ち去ることができた。

 砂漠の砂と同じ色味のマントを被っていて、私はそのマントに蹲るように抱きかかえられている。彼は街の中を目立たずに凄いスピードで駆けていく。フードをしていて顔は見えない。

 この匂い、この雰囲気、もしかして………………。

「デューク様!?」

 私はその名を呼んだ。彼は何も答えないまま、人のいない狭い路地へと一度身を隠した。

「アリシア」

 彼はそう言って、フードを脱いだ。

 やっぱり、デューク様だったわ!!

 私はその喜びで抱きかかえられたまま思わず抱きついてしまう。デューク様は私がいきなり抱きついたことに少し驚いた様子だったが、すぐに彼も優しく私を包んでくれた。

「相変わらず派手な登場だな」

 ……あれはちょっとドジを踏んだだけです。

「悪女はいつだって派手に現れないと」

「にしては、てんぱっていたように見えるが?」

 もう何も言い返せない。

「助けて頂きありがとうございます」

 私は彼から手を離し、目を見てお礼を伝えた。デューク様は「どういたしまして」と嬉しそうに顔を綻ばせた。

 ……至近距離からのその笑顔は流石に反則すぎないかしら?

 私は久しぶりにデューク様を全開で浴びて、心臓の鼓動が速くなるのを抑えられない。

 ここでの生活、私の心臓が持つかしら……。

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