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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「どういうことだよ……」

 私の言葉に先に反応したのはリガルの方だった。

 それもそうよね、まさかシャルルの名をもう一度聞くとは思いもしなかっただろう。 

「どういうこともなにも、ぜ~んぶシャルルが裏で糸を引いていたってことよ」

 さっきまで生きる気力を失っていたリガルの瞳が変わった。

 シャルルが誰なのかは私も明確には分からない。ただ、この村を潰す気があるのは確かだ。

 …………多分、狙いはクシャナだと思うのよね。

 けど、クシャナの生い立ちをまだ詳しくは知らないけれど、貴族の子でしょ? 

 その子が今じゃこの森を治める女王だなんて、狙われないわけがないもの。

 とりあえず、リガルには後でシャルルの特徴を聞くとして……。

「というわけで、ライネル。リガルを早く解放してくれないかしら?」

 私はニコッとライネルへと笑みを向けた。ライネルは眉をひそめながら、声を発した。

「ばあさんがやった証拠なんてどこにも……」

 ライネルが槍を握る手がギュッと強くなるのが分かった。その時だった。聞き覚えのある澄んだ声がその場に響いた。

「本当だ、ライネル」

「ク、クシャナ女王様!?」

 クシャナ! 来てくれたのね!

 私の心は急にパッと明るくなる。この森で最も強い存在である最強の味方が現れた。自分の体の大きさぐらいある鎌を持つその姿は戦士のようにも見えた。

 クシャナが現れた瞬間、ライネルは槍を縦に持ち、彼女に向かって跪く。

 なんだかクシャナ、切羽詰まった表情をしてる?

 クシャナはライネルを無視して、リガルの前へと立ち。「クシャナ様」とリガルが言ったのと同時に、リガルの首元に鎌をスライドさせようとした。

「うっそでしょ」

 私はすぐに転移魔法を使った。この短い距離だったら、そこまでの体力は使わない。

 リガルを遠くへ蹴飛ばして、先ほどレオンから貰った短剣でギリギリのところで鎌を止める。クシャナの力があまりにも強く、私は地面から足を離さずに数メートル移動した。

 私の見事な体幹に拍手を貰いたいぐらいだわ。

 鍛えてなければ、足首は間違いなく折れていた。相変わらずとんでもない力だ。

 どうやら、クシャナは味方じゃなかったみたい。彼女と戦うなんて絶対に嫌だわ……。

 私はそんなことを思いながら、顔の隣でギリギリで受け止めた鎌を一瞥して、クシャナに話しかけた。

「どういうつもりなの」

「すまない、アリシア。だが、リガルには犠牲になってもらわなければならない」

「……クシャナらしくない発言ね」

 いつものクシャナなら絶対にそんなことを言わない。

 私の言葉にクシャナはキュッと眉間に力をこめて、目を細めた。

 さきほどの蹴りによって吹き飛ばされたリガルは、少し離れたところで「うう」と声を上げている。ライネルはただ驚いた顔で私たちを見つめていた。

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