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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 私はライに乗りながら、急いでリガルのもとへと向かった。

 レオナルドの口から聞かされた物語はあまりにも惨く、言葉を失った。

 ライのスピードに乗り、風を切りながら、先ほど言われたことを思い返す。

 数年前に現れた貴族がいた。部外者で、警戒されていたが、とてもこの村のことを思っており、人当たりもよく、次第に村人からの評価は変わっていった。

 中でも、リガルはとても仲を深めていた。その貴族は「シャルル」と名乗ったそうだ。男性だが、中性的な綺麗な顔をしていたという。

 着ている衣裳は上質なもので、佇まいにも品があった。

 貴族に対しての苦手意識は彼によって徐々に薄れていき、誰とでも親しくなれるシャルルの人柄はこの村の人々に愛されていたそうだ。

 だが、彼は天使の仮面を被った悪魔だったのだ。

 そこまで、レオナルドの話を思い返していると、リガルの場所へと到達した。リガルは膝をついたままで、ライネルに槍の先端を突きつけられている。

 ……いつでも殺せるように、ずっとあの体勢で待機していたのかしら。

 私はライに乗りながら、ゆっくりと彼らの方へと近づいた。ライネルとリガルは私に気付き、こちらを振り向く。

 二人とも目を大きく見開き、瞬きを忘れ、私をじっと見る。

 ライネルの方が、言葉を発した。

「なっ………、ライオンだと?」

 仮面の下から聞こえてくる低い声に私は余裕のある表情を浮かべる。

 もう体力の限界を迎えている。不要な戦いは避けたい。ライネルが話の通じる相手なら、良いのだけど……。

 私はそんなことを思いながら、彼らの目の前でライを止め、その場に降りる。

「馬鹿な、ライオンを従えるなど、ありえない」

 ライを撫でながら、「少し話し合わない?」とライネルへと視線を向けた。

 ライネルは槍をリガルに向けたまま「話し合うことなどない」と声を発する。

「リガルが今回の犯人だという確固たる証拠はどこにもないのに、彼を殺すのは違うでしょ?」

「ならば、お前は犯人を知っているというのか?」

「リリーという名の老婆、彼女が犯人よ」

 私がそう言うと、ライネルはハッと鼻で笑う。

 ……そりゃその反応よね。確かにあの老婆がやったとは誰も思うまい。

「あの老いぼれた婆さんがか?」

 彼の馬鹿にするような口調に私は「そうよ」と静かに肯定した。そして、私は更に言葉を付け加えた。

「シャルルという男がリリーと繋がっている可能性が高いの」

 先ほどレオナルドから聞いた話で私はそう確信していた。

 これは、間違いなくクシャナを狙った事件だ。ここからはまだ憶測でしかないけれど、リリーは「クシャナのため」と言われて、今回の騒動を起こしたのだろう。

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― 新着の感想 ―
まだまだ闇がありそうだ…。
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