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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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606

 私たちの近くに来て、女性は息を切らしながら口を開いた。

「シーナ様が、お怪我を……」

「命は?」

「まだ息はあります。……が、出血が激しく」

「すぐ行く」

 ……こんな状態でも一切取り乱さないクシャナを凄いと思った。 

 私なら「命は?」と聞く前に「どこなの!」と声を上げて駆け出しているだろう。

「オスカー!」

 クシャナが名を叫ぶ。その瞬間、どこからともなく「ハッ!」と現れる。私は突然の男の登場にビクッと肩が上がる。

 ……一体どこから現れたのよ。彼はまだ若く、顔にはオレンジ色の不思議な模様が描かれえている。

 なんだか部族っぽいわ。……いや、まぁ、部族なんだけど。

「そっちの状況は?」

「思ったよりも酷いです」

「そうか……。とりあえず、今は手を貸してくれ。こいつの手を縄で縛って、連れてこい」

「え、リリバアをですか?」

 クシャナの指示にオスカーという男は目を丸くする。

 まさか捕らえる人間が老婆だとは、かなり予想外だったのだろう。何も事情を知らなかったら、私もオスカーと同じ反応をしてしまうだろう。

「ああ、そうだ」

 クシャナはそう言って、歩き始めた。先ほど私たちの元へ来た女性が場所を案内する。

 オスカーは戸惑ったまま、慣れた手つきで老婆の手を縛った。老婆は抵抗することなく、オスカーに連れられる。

 駆け足でシーナの元へ向かう。

 おじい様たちはこの場に残り、魔法で出来る限りの手助けをする。私とヴィアンはシーナの元へ向かった。

「アリシア」

 ヴィアンが私の耳元で小さく呟く。「どうしたの」と返答すると、ヴィアンは目を細めながら辺りを見渡した。

「どこからか殺意を感じる」

 私は彼の言葉で初めて、殺意を察知した。

 ……私としたことが、目の前のことに気を取られて、周囲の様子を覗うのを忘れていたわ。

「気を引き締めておきましょ」

 私の言葉にヴィアンは頷く。

 リガルかもしれない。そう思ってしまった。

 ヴィアンたちを見つけて、このよそ者たちが村に火を放った、という考えに至る可能性も充分にある。

 私はそんなことを思いながら、シーナの元へと来た。

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