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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「…………は?」

 リガルは私の言葉に目を見開き固まった。

 私はそんな彼に「よろしくね、リガル」と手を差し出した。彼は私の手を握ることなく、ただ私を驚いた目で見つめている。

「元ってどういうことだよ」

「色々あって、今はただの十六歳の少女なのよ」

「……身分剥奪ってことか?」

 飲み込みが早くて助かる。

 王宮爆破計画を立てたことは黙っておこう。また警戒されることになる。

「そういうことね」

 私は小さく頷いた。

 リガルは私をじろじろと観察しながら、さっきより少し柔らかな口調で言葉を発した。

「お前もなんだかんだ大変なんだな」

「だから~! お前ってなに! 私の名前はアリシアって自己紹介したわよね?」

「わ、わりぃ、アリシア……様?」

「アリシアでいいわよ」

 ……なんだか、私ってば同情されてる?

 身分剥奪されるような犯罪を犯したっていう発想にはならなかったのかしら。罪なき令嬢が冤罪によって身分剥奪させられたって解釈をされているような気がする。

 絶対に前者の方が悪女っぽい印象を付けられたのに……。

 もしかして、彼はただの心優しい人なのかもしれない。この純粋さに付け込まれたりしそうだもの。……だから、前回も酷い目に遭ったとか? 

 ああ、ますます何があったのか気になるわ!

「アリシアは追われる身なのか?」

「へ?」

 思わぬ質問に間抜けな声を出してしまう。

「追われているから、この森に逃げてきたのか? だから、女王に助けてもらったのか」

 何も言わなかったら、どんどん話を広げられそうだわ。

「ちがうわよ」

 私は否定する。

 さっきまでの私に対しての憎悪に近い感情はどこに行ったのよ。戻ってきなさい、少し前のリガル。

「身分剥奪は私が単に悪いことをしたから」

「……けど、アリシアは悪そうな人間に見えない」

 私は彼の言葉に何も言い返せなくなった。

 これはあまりにも不意打ちすぎる。……あんなに睨んできたのに、どうして私が悪者じゃないなんて思うのよ。

 私が言葉を失っていると、彼は言葉を付け足した。

「警戒していたのは事実だし、アリシアのようなよそ者は大嫌いだ」

 なにこの男。

 二重人格なの? もう少し、キャラを統一してよ。

 リガルに対してどの態度を取るか困る。……まぁ、けど、「お前」ではなく「アリシア」と呼ぶようになったことは褒めよう。

「嫌いで結構よ。私も貴方のことこれっぽっちも好きじゃないもの」

 私はにこやかにそう答える。

 この場は私が優位でなければならない。常に余裕と笑みを忘れないで接しよう。

「じゃあ、早くこの村から出ていけよ」

「貴方のことは好きじゃないけれど、この村のことは好きだもの。答えは『無理』よ」

 リガルは私に聞こえるように舌打ちをする。

「どうして私が悪者でないって分かるの?」

 私は話を変えた。

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