表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

573/710

573

 なんだか象の背中の弾み具合の感覚分かってきたわ。

 このままずっとスキップで象と一緒に楽しんでおくのも……、楽しんでいるのは私だけか。

「そろそろ切り上げよっと」

 私は象の背中から下りて、地面に転げ落ちる。……上手く受け身を取れなかった。まずい。

 私は少し顔を上げて、周りの様子を確認した。

「え」

 思わず目を丸くしてしまう。

 象たちは少しふらついている。さっきみたいに鋭い目をしていない。私の周りを囲んでいた象たちの動きが鈍っている。

 嘘でしょ……。象の目を回そう作戦、ちゃっかり成功してない?

 馬鹿な作戦ほど意外と効果あり、って本でも書けちゃいそう。

 私はそんなことを思いながら、その場に立ち上がり、彼らの隙をついて逃げた。

 象と仲良くなりましょう! なんてヒロインみたいなことはしない。動物と一緒に歌を歌って、仲良くしている自分が想像つかないもの。……もちろん、ライは別だけど。

 私が必死に逃げていると、一匹の象が私を追いかけてくることに気付いた。

 最初に、私と目が合った象だわ。傍から見たら区別なんてつかないのだろうけど、勘で分かる。

 こういうのは理論で分かった方がカッコいいのだけど、象の区別なんて勘で分かれば充分よ。

 私はそんなことを考えながら、私はいつまでも自分のことを追ってくる象のことを考えた。

「大勢の敵から逃れました! って言おうと思ったのに、まだまだ戦いは終わりそうにないわね」

 象の凄まじいスピードに私は追いつかれそうになる。

 段々目が回っていたのも落ち着いて、加速してきてる。人間の私が象のスピードに勝てるはずない。

 はぁ、と心の中でため息をつき、私は腕を胸の前で構えて受け身をとる。その瞬間、私は象の鼻で思い切り飛ばされた。

 いったあぁぁぁぁ!!!

 全身がブルッと震えて、腕と胸に激痛が走る。とんでもない衝撃だ。

 ビリビリッと骨にまで響く。もし、ガードしていなければ、死んでいたなと思うとゾッとした。

 なによ、これ。

 しつこい象に、負けるアリシア?

 そんなの許さない。

 自分がスローモーションに動いているように見えた。

 象から攻撃を受けたのは初めてだ。このままぼんやりと飛ばされたままだと、着地の際に骨を折るだろう。

 象は私をじっと見つめながら様子を確認している。

 強い者は好きよ。さらに、その対象が自分だと……凄く燃えるわね!

「こうでなくっちゃ!」

 私はそう言って、クルッと宙で回り、近くの木の枝に飛び乗った。

 悪女たるもの、敵も脅威的な存在でないとね!

 私はまだジンジンと痛む腕で木の枝を掴み、しゃがみながら象を睨み返す。

「どうしてこの象だけが私のことを追ってきたのかしら……」

 他の象は私を追ってこない。

 敵を排除しようとする意識が強い? 狙った獲物は逃さない? 

 私はそんなことを考えながら、象が私の方へと近づいてくることに身構える。

 また、あんな攻撃を受けたら、次は負け…………いや、待って。もう一度あの攻撃をしてもらえばいいわ。

 私はパッとまた馬鹿なアイディアをひらめいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
像の数え方は一頭二頭ですわ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ