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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 象を説得する方法なんて、本で読んだことはない。

 …………こうなったら力ずくね!

 私は拳に力を込めた。魔法がなくても、私は強い。

 そうよ、ライを倒した時だって、魔法を使っていない。

「象にだって勝てる!」

 私はそう言って、象たちの前に仁王立ちする。……が、彼らには私の威厳は全く通じていないようだ。少しも動じていない。

 ……流石、象ね。

 私は近くの木の棒を拾い、剣を握るように構える。この象たち全てを相手に……してやるわ!!

 近くにいた一匹の象の元へ駆け寄り、木の棒で足に一撃を与える。

 パキッと音を立てて、棒は一瞬で空へと舞った。

「あら」

 想像以上に、象の皮は強かったみたい。象へのダメージはゼロ。

 握っていた残りの小さな木の棒をポイッと捨てて、全力で走りだした。

 このままだと一瞬でやられてしまう。拳で戦いたいけれど、もう少し象の様子を観察しないと……。

 彼ら相手だと、私は逃げ切ることすらもできないだろう。

 私は必死に走るが、象の速さには負ける。元々囲まれていたこともあり、隙をついて、逃げようとするのはかなり難しい。

 ……象なんてチートじゃない!

「あ~~~~、逃げ道がない」

 このままぐるぐる逃げても、らちが明かない。

 あ! 体力だけはあるから、ここでぐるぐる走り続けて、象の目を回してしまえばいいんじゃないかしら。…………なんて馬鹿な作戦。王宮爆破計画よりも酷いわ。

 もっと、真面目に考えてよ、アリシア。

 私はがむしゃらに一番近くにいた象の鼻に飛び乗った。

 ブンブンと振り回され、脳みそが痛くなる。

 本当になんて力なのッ!! この力で放り投げられてたら、大怪我してしまう。

 私は必死にしがみつきながら、次の行動を考えた。

 いっそのこと、これをショーだと思えばいいんだわ!

 何か困難があったら、ノリノリで戦わないとね!

「象さん、私と一緒に遊びましょ!」

 私はニッと笑い、象の力を利用して、思い切り左右に揺らされているタイミングでパッと手を離した。

「さて、始まりました! アリシアは象の円の中で舞います」

 私は自分でナレーションしながら、宙で前回りをして、象の背中へと移り乗る。

「ご覧あれ、見事な着地」

 これで、強引だけど象の上には乗れた。象の上で着地するなんて初めてだから、バランスを崩しかけたけれど、なんとかなった。

 後は…………。

 キャッ、と思わず声を出してしまう。

 象の背中に乗れば、象が友好的になって、私をクシャナの元へ連れてってくれるかと思ったけれど、そう甘くないようだ。

 象は激しく体を動かして、私を落とそうとする。

 もう! 少しは大人しくしてよ!

 私は象から隣の象の背中へと移る。バランスを崩さないように、出来るだけスピーディーに足を動かす。

 次から次へと象の背中に乗り移る。

 …………なんだか、私ってば、サーカス団の一員みたいだわ。

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