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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 アリシアがいる場所と言えば、ラヴァール国しか思いつかない。

 僕一人の力だとラヴァール国には行けない。僕は頭を抱えながら、旧図書室でアリシアのことについて考えていた。

「どうしたの?」

 珍しい声が僕の耳に響いた。

 僕は「フィン」と呟きながら、彼の方へと視線を向ける。

 可愛らしい美少年がいる。相変わらず光魔法のせいかキラキラして見える。本当にデュークと同い年だとは思えない。

 ……こんなにも害のなさそうな雰囲気を醸し出していて、実際何を考えているのかさっぱり分からない。

 本当に彼を信用して良いのか未だに自分の中ではっきりしない。

「なんだか怖い顔してるね、アリシア絡み?」

 もう既にアリシアがどういう状況になっていたのか彼の耳に入っているだろう。

「そうだよ」

 僕は愛想なく呟いた。

「アリシアへの愛は通常運転で何より」

「何しに来たの?」

「散歩ついでに寄ってみたんだ。なんだか陰鬱な雰囲気が扉の外にまで放たれていたからね」

 笑顔でそう言うフィンに僕は「陰鬱で悪かったね」と少し頬を膨らます。

「……それで、ジルは何にそんな悩んでいるの?」

 僕はじっとフィンを見つめた。ただの興味本位で相談に乗ろうとしているのだろう。

 彼が親身になって相談を乗る様子が想像できない。

 まぁ、いっか。このまま一人で悩んでいるよりかは、誰かに今の感情を吐露した方が楽になるかもしれない。

「僕は……、アリシアは本当はラヴァール国に一人で行きたかったんじゃないかなって思ってるんだ。僕のことをいくら認めていたとしても、国外だと僕は邪魔になるのかもしれない。次は僕も一緒だって無理やりついて行こうと我儘を言っていたから、もしかしたら嫌になったのかもしれない。今、僕がラヴァール国に行っても良いのか……、なんか分からなくなってきちゃって」

 僕がそう言い終えると、フィンは声を出してケラケラと笑った。

「どうして君はそんなにマイナス思考なの?」

「ちょっと、人が真剣に話しているのに! フィンに相談した僕が馬鹿だったよ」

 僕の話をからかわれているようで腹が立った。

 フィンは「ごめんごめん、違うんだ」と笑いを止めながら、話を続けた。

「ジルはずっとアリシアの傍にいたのに、彼女のこと全然分かっていないなって思って」

「僕がアリシアのことを分かっていない……?」

 少なくともフィンよりかは僕の方がアリシアのことを分かっている。

「僕の目に映る彼女は、そんな無責任な女の子じゃないよ」

 フィンから発せられたその言葉はとても落ち着いていて、大人びていた。

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