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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 魔法書、魔法書……、あったわ!

 焦り過ぎて、うまくページを捲れない。

 お父様達が言っていた事は絶対に嘘に決まっているわ。

 私はあるページで手を止めた。

『魔法を扱えるのは十三歳以上である』

 見間違いなわけないわよね……。だって私、視力凄く良いもの。

 じゃあ、どうして私は十歳で魔法が使えているの?

 この本が間違っているのよ。

 私はもっと魔法の事について細かく書かれている魔法大全を取り出した。

 これになら何かわけが書いているかもしれないわ。

 私は深呼吸してさっきより落ち着いてページを捲った。

『魔法を扱えるのは十三歳以上である』

 同じ事が書かれているわ。

『故に貴族は十三歳から魔法の習得を始め、十五歳までにレベル20を習得した者が魔法学園へ入学できる』

 レベル20を習得……。

 あら、私、もう少しでレベル20を習得出来そうだわ。

 他に何か書いていないのかしら……。

 通常よりも若くして魔法を習得出来るようになったとか。

 全ページに目を通したが何も見つけられなかった。

 本当に謎に包まれたままって事?

 嫌よ、私は謎を謎のまま残しておくのが本当に嫌いなの。心がずっとモヤモヤするじゃない。

 かといって、誰かに聞いても分かる事でもなさそうだし……、ウィルおじいさんなら分かるかしら。

 もう日も暮れているし、貧困村に行っても大丈夫よね。

 ああ、ジルへの本も忘れずに持って行かないとね。


「いらっしゃい。どうしたんじゃ?」

 ウィルおじいさんは一瞬で私が焦っている事を読み取ってくれた。

 ヒロインにも人の心情をこれくらい読み取る力をあげてほしいわ。

「聞きたい事があって」

「とりあえず、落ち着きなさい」

 ウィルおじいさんはまだ少し若い声でそう言った。私は大きく息を吸い込み、ゆっくり息を吐いた。

 ジルはもう寝ていたので、横に本の入った鞄を置いておいた。

 私はいつも座っている椅子に腰を下ろした。

「ウィルおじいさん、私……」

「何故十歳で魔法が使えるか?」

 私が言う前にウィルおじいさんが口を開いた。

 驚きで私は固まってしまった。

「どうして分かったのですか?」

 ウィルおじいさんってもしかして人の心が読める特殊能力があるのかしら。

「そんな気がしたんじゃ」

 気がするだけで私が言いたい事が分かるなんて占い師みたいだわ。

 やっぱりウィルおじいさんは凄いわ。

「それで理由が何かご存知なのですか?」

 私がそう言うと、ウィルおじいさんが難しい顔をした。

 何故かその表情に寂しさと苦しさを感じた。

 王宮で働いていたことを思い出したのかしら。

「アリシア、魔法を通常より早く扱えたという事は凄い才能じゃ。だが、同時にその才能を破滅に向かわせる事もあるという事じゃ」


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