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「毒魔法の最大の強みは?」
「相手に毒を入れることもできるし、抜くこともできる」
僕の質問の意図が分からないまま、キャロルは答える。
「毒のない状態で毒を抜いたら?」
僕の言葉にキャロルは目を大きく見開く。
「…………魔力を奪うことができる」
キャロルの言葉が静かにそこに響いた。
最近のアリシアの出来事はシーカー・ジュリーと接触したことだ。
王宮爆破計画の首謀者に対しての罪が爵位剥奪だけだと考えると、甘すぎる。アリシアとジュリーの間に何があったのか詳しく知らない。
ただ、一つ分かるのは、シーカー・ジュリーがアリシアに何かをしたということだ。
じっちゃんの目をくり抜いて貧困村へと追放し、アリシアの祖父たちを国外追放させた。彼女には、それぐらいの権力がある。
…………ただ、一つ分からないのが、アリシアが消えたということだ。
シーカー・ジュリーがアリシアの魔力を奪ったとして、どうしてアリシアが消える必要がある?
「祖母に会うか……」
デュークのその口調で、ジュリーと会うことが、気が重いことなのだと分かる。
「デュークですら会うのが難しい相手なのに、どうしてアリシアはすんなりシーカー・ジュリーに会えたんだろう……」
「祖母は、遅かれ早かれアリシアに会おうと思っていたのだろう。王宮に忍び込んだと分かれば、会わない手はない」
「アリアリは元から目をつけられていたんだもん。そりゃ、絶好のチャンスだよね。しかもジュリー様は罰を与える側だし」
僕とデュークの会話にメルが入って来た。
ようやくいつものメルに戻って来た。
アリシアが死んだという可能性よりも魔力を奪われた可能性の方を信じたのだろう。
「けど、それがアリシアちゃんが行方不明になった理由にはならないわよね?」
今日のリズは頭がきれる。
昔一度、アリシアは魔法を使えなくなったことがある。その時にじっちゃんの元に行って、破滅の話を聞いたはずだ。
そんなことを頭の片隅で思い出していた。
「自ら消えたのか、攫われたのか、どっちなのかも分からなくなってきたわ」
キャロルの言葉にまた静寂が生じる。
デュークはさっきから何も言わない。きっと、とんでもないスピードで頭を動かしているに違いない。
「アリシアはデュークにとっての弱みでもあるよね」
僕は気付けばそんなことを発していた。
デュークの視線が僕へと移る。僕はデュークが何か言い始める前に言葉を付け加えた。
「無敵のデュークが崩れる瞬間はアリシアが絡んでいる時だけだから」
それが良いのか悪いのかはよく分からない。けど、アリシアはきっと自分がデュークの弱みになることを望んでいない。
「これでもかなり冷静でいられてるつもりなんだけどな」
デュークは軽く苦笑した。




