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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 少し経つと、リズの力が少しずつ弱まっていった。光がリズの中へと戻っていく。

 魔法には慣れているはずなのに、不思議な体験だった。僕に魔法をかけられたわけではない。けど、リズの魔力に触れることができた。 

 ……変なの。

 魔力を全て自分の中にしまってから、リズはゆっくりと目を開いた。

「何か分かった?」

 恐る恐るリズに尋ねる。

 リズは困惑した表情を浮かべながら、弱々しい声を発した。

「…………アリシアちゃん、この世界にいないわ」

 どういうこと?

 僕は彼女の言った言葉を理解できなかった。

 アリシアがこの世界にいないってどういうこと!?

 急な展開にこの場にいる全員、頭が追い付いていない。

「意味が分からないんだけど……」

 メルが皆の気持ちを代弁するように口を開いた。

「アリシアちゃんの存在を感知できないの。……もしかして本当に」

 死んだ、とはリズは言わなかった。

 けど、もしかしたら、その可能性があるのかと頭をよぎった。

 そんな馬鹿な話があってたまるか。アリシアは絶対この世界にいる。リズの魔法が不完全だっただけだ。

 僕は必死に脳内でそう言い聞かせる。

「ラヴァール国に先に行ったのかも」

 僕がそう言うと、リズは首を横に振った。

「言ったでしょ。『この世界』にいないの。どこにも見当たらない」

 最後の望みのリズの力を使っても見つけ出すことができないってこと……?

 死んだなんて絶対に認めない。きっと、アリシアの方がリズよりも上手だから、上手く気配を消しただけだ。

「ねぇ、デューク、僕らでアリシアを探しに行こう」

 自分の声が微かに震えるのが分かった。 

 アリシアがいなくなる恐怖と不安が表に出てしまっている。 

「デュークってば!」

 固まったままのデュークに僕はもう一度声を掛ける。 

 珍しくデュークが動揺している。アリシアをラヴァール国に見送った時ですら動揺していなかったのに……。

 彼のその反応が更に僕の不安を煽った。

「アリシア様……」

 キャロルはアリシアの名前だけ呟き、呆然としていた。

 リズのあの魔力を強さをここにいる皆分かっている。その魔力ですら見つけられなかったアリシアを探し出すことなど不可能に近い。

 けど、そこで諦めてたまるか……。

 メルは何も言わずに険しい表情を浮かべている。不穏な空気がその場に漂う。

 次、どうすればいいのか分からない。途方に暮れてしまうとはこういうことだ。

 じっちゃんを失ったばかりなのに……。

 ダメだ、マイナスのことばかり考えてしまう。解決策を考えろ、僕。

 なんのために今まで沢山のことを学んできたんだ。頭を使うことしかできないのなら、今必死に頭を使うべきだ。

「……………………ねぇ、キャロル」

 僕はふと、とある授業の内容を思い出した。

 キャロルはいきなり名を呼ばれて、不思議そうに「なに?」と僕を見る。

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