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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 はい!? アルバートお兄様は一体何をおっしゃっているのかしら。

 リズさんと仲良くしたいなんて一ミリも思っていませんわ。

 私とリズさんが仲良くなってしまったら私は悪役令嬢失格よ。

「アリシアちゃんと仲良くしたいな」

 リズさんが私の方に天使の微笑みを浮かべる。

 やっぱり私、この笑み苦手だわ。

 優しく微笑みかけたら自分の事を好きになってもらえるなんて思わないで欲しいわ。

「私、リズさんと仲良くしたいと思いませんわ」

 リズさんが固まる。

 大きなエメラルドグリーン色の瞳が私を見つめる。

「私、アリシアちゃんに何か悪い事した?」

 していませんわ。

 けど貴方はヒロイン、私は悪役令嬢。いがみ合わなければならないのよ。

「私とリズさんは絶対に仲良くなれないんですもの」

 皆さんの頭にはてなマークが見えますわ。

 あら、私そんなに不可解な事を言いました?

「アリ、まだ全然話した事ないのに仲良くなれないなんて言うもんじゃないよ」

 アルバートお兄様が笑顔でそう言った。

「沢山お話ししてお互いを知りましょ?」

 沢山話してお互いを知ったところで共通点は見つからないと思いますわ。

 けど、お喋りか二人で町までデートかを天秤にかけたら圧倒的にお喋りよ。

「町に行かなくていいのならリズさんとお話しいたしますわ」

 私がそう言うと、リズさんの顔が明るくなった。

 アルバートお兄様も安堵のため息を吐いた。

 そんなに私とお話ししたかったの?

「アリシアちゃんが好きなお菓子は?」

「マカロンですわ」

「マカロン! 私も大好きよ。じゃあ、好きなお花は?」

 お花っていう言い方が苦手だわ。

 花にどうして『お』をつけるのかしら。

「花にそれほど興味がありませんわ」

「そうなの……。私、マーガレットが好きなの」

 確かにリズさんが好きそうだわ。

「花言葉が素敵なの、」

「「真実の愛」」

 リズさんが固まった。

「また誠実、信頼という意味もあるわ。リズさんにピッタリの花ですわね」

 私は満面の笑みで嫌味を込めてそう言った。

 まぁ、リズさんには全く嫌味なんて通じないのだけど。

「お花に興味がないのに知っているの?」

「本で読みましたので」

「じゃあ、その中でもいいなって思ったお花は?」

 だから、花に興味がないのよ。草なら好きよ。

 リズさんが目をキラキラさせながら私の方を見ている。

「スズランが好きですわ」

 私は軽く嘲笑しながらそう言った。

「スズランの花言葉は純粋、再び幸福が訪れる。素敵な意味がある花ね」

「ええ。清楚な見た目に素敵な花言葉を持っているのにも関わらず最悪死に至るような有毒物質があるっていうのがとても魅力的ですわ」

 部屋が静まり返った。

 リズさんの顔が引きつるのが分かる。

 今の台詞はまさに悪女っぽいわよね?

 天使の微笑みを持つヒロインの顔を引きつらせたのよ?

 ベストオブ悪女よね?

 本を読んでおいて良かったわ。

 花の話なんて一生しないと思っていたし、悪女になるために花の知識なんて必要ないって思っていたけど、役に立つものなのね。

 やっぱりポケットはいっぱい持っておくものね。

「アリシアちゃんが好きな色は?」

 沈黙を破ったのはリズさんだった。

 笑顔でそう言っているけれど、まだ若干顔が引きつっていますわよ?

 この質問コーナーは一体いつまで続くのかしら。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アリシアの悪女シーンがめちゃくちゃ好き。 ちょっとヒヤヒヤするところも楽しい。
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