表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

526/710

526

「本当に鬱陶しい」

 ……私はジュリー様に相当嫌われているみたい。

 憎悪の感情も入っているように思える。……同族嫌悪としての憎しみかしら。

「嫌われることの楽しさはジュリー様が一番ご存知なのでは?」

 私は更に煽りに火をつける。

 煽るのが大得意の私は今の場面でこそ本領を発揮できる。

「本当に自分の命が惜しくないようね」

「大事ですよ。決して自分の命を軽んじているわけではないです。……人生はなるようになるので。自分の意志と決断で作り上げていくものだけど、大きな力には逆らえない」

「…………絶対的な権力とか?」

「はい。ウィルおじさんもいくら優秀で頭が切れても、ジュリー様の制裁を変えることはできなかったので」

「皮肉のつもり?」

 私は暫く黙った。

 彼女との会話はまるでチェス盤の上で駒を動かしているぐらい頭を使う。一つでも動かし間違えれば、ジュリー様は間違いなく口を閉ざす。

 常に彼女の気を引いていなければならない。

「私はシーカー・ウィルという人間をとても尊敬していました。自分の運命を憎んでも、貴女を憎んだ姿を見たことがなかったからです」

「…………死んでもなお、鬱陶しいわね」

 私は必死に頭を回転させた。

 どうして、ウィルおじさんを嵌めたのか。それだけがどうしても腑に落ちない。

 ジュリー様が息子――シーカー・ルークを王座につかせたい気持ちは理解できる。けど、その代償として、私のおじい様たちを国外追放させて、ウィルおじさんをあんな目に遭わせる……?

 こればかりは、私の想像だけでは解決できない。

 最愛の王妃を失くした前国王、悪役になったジュリー様、ジュリー様のいいなりになる国王、目を奪われロアナ村へ追放されたウィルおじさん、共犯者として国外追放となった三賢者。

 …………………アリシア、考えるのよ。 

 何か、どこかに、キーポイントがあるはず。

「目」

 私は独り言のようにそう呟いた。

 ……わざわざ、目をくり抜いた理由は? 

 手や足を切断でも良かったじゃない。魔力が強く宿っている目を切り抜いたのは、ウィルおじさんが魔力を失ったから? 

 最初、この話をウィルおじさんから聞いた時はジュリー様のことをなんて冷酷な人なのだろうと思った。一番惨いやり方を選んだのだと……。

 けど、今私の目の前に立っている年老いた女性は冷血非道な人間には見えない。

 必死に今まで読んできた書物を頭の中で呼び起こす。

 目は……、目は何に繋がる? 魔力、完全消滅、…………そして、ジュリー様。

 ロアナ村を見つめる彼女の背中を見つめながら、私はジュリー様の属性を思い出した。

 ………………毒魔法。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今回もとても面白かったです!続きが気になります!! これからも頑張ってください。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ