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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 ……さぁ、ここからが勝負!!

 私はゆっくりと息を吸い込んだ。この緊張感を持って潜り込むしかない。

 王宮は魔法の結界で覆われているけれど、私たち五大貴族はすんなりと通り抜けることができる。

 なんとも、五大貴族にとってはセキュリティが脆弱過ぎる王宮なのよね。……それだけ信頼されているということだけど。

 お父様やお兄様方の名を傷つけないよう、私は全責任をとるつもりでいる。

 …………ウィリアムズ家に泥を塗るのは私だけでいい。

『ミッションスタートよ!』

 脳内でお兄様方に伝えたのと同時に、私は動き始めた。

 王宮を囲う結界は確かに強いけれど、一番魔力の弱いアランお兄様も入れるぐらいだ。けど、私は転移魔法を使う。

 できるだけ、時間ロスをなくした方がいいもの。デューク様に気付かれる恐れが一番ある場所だし……。

 私は転移魔法で一瞬で王宮に入り込んだ。シンッと静まり返った長くて広い廊下に現れ、周りを見渡した。

 衛兵や使用人たちがいる様子はない。

 廊下に飾られている花の後ろに小さな魔法石を置いた。この魔法石には私の魔法をあらかじめ込めておいた。

 これをお兄様方にも数個配っている。おかげで私の魔力はかなり消費したけれど、作戦は無事に実行できた。

 月夜に反射して紫色に輝く魔法石を私は廊下の所々に配置する。

 闇魔法は創造と破壊に長けている属性だ。五感に触れる幻影を造り出すことが可能である。……そんなことをやった人がいる前例はなかったけれど。 

 ただ、理論でいくと、この魔法は成功するはずだ。

 炎の幻影を上手く見せて、城全体が燃えているように思わせる。勿論、熱さもそれなりに感じることができる。かなり、リアリティがある魔法。……勿論、誰も怪我はしない。

 そして、その後、一瞬にして魔法が消える。お城は無傷。……これだと、幻影だということがバレてしまうから、水魔法で消したかのように演出する。

 ここまで手の込んだ魔法石を作り上げるのにはかなり集中力と魔力を要したけれど、なかなか楽しかった。まさに悪女って感じ!

 それも共犯者がいるなんてワクワクするわ。

 そんなことを考えていると、お兄様達の声が聞こえてきた。

『ヘンリ、魔法石の配置完了』

『俺も』

『アルバート、配置完了』

 三人ともどうやら無事に魔法石を置けたらしい。

 ……ここで気を抜けない。まだまだ作戦は序章に過ぎない。ここからが本番よ。

『アリシア、魔法石を起動させるわ』

『『『了解』』』

 三人の声が聞こえたのと同時に、私はこの王宮中に感じ取れる私の魔力に意識を向けた。

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