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「では、まず最初にお兄様方にしてもらうのは……」
私は立ちながら、応接間のソファに座る三人の兄を見つめる。
ウィリアムズ家でこんな新鮮な状況を面白く思ってしまう。ヘンリお兄様やアルバートお兄様と単体で話すことはあっても、アランお兄様含めて三人としっかりと話すのは凄く久しぶりのような気がする。
「王宮爆破作戦を立ててもらいます」
語尾にハートをつけるように嬉々たる声でそう言った。
お兄様たちは数秒固まった後、揃いも揃って三人とも同じ表情を浮かべた。
「「「は?」」」
……驚き方が完全に一致している。やっぱり、兄弟ね。
「そんなに難しい話じゃないです。ただ王宮をドカンと」
「極刑だぞ」
ヘンリお兄様が真面目な声で返答する。
「その首謀者が私――ウィリアムズ・アリシア! それに、全責任は私が負うのでご心配なく。ちなみに理由としては……、そうねぇ、『シーカー・ジュリー暗殺』なんてどうですか?」
私はにこやかに淡々と話す。
お兄様たちはどうやら私の話についてこれていないようだ。
「ウィリアムズ家の評判を落とす気か?」
「だ〜〜から! 全責任は私が負います!」
ヘンリお兄様だけが口を開く。
アルバートお兄様もアランお兄様も私の発言を全く予期していなかったのか、未だに脳内で処理できていないようだ。
もちろん、私が全ての責任をとったとしてもウィリアムズ家の評判は一時的に落ちるだろう。
けど、私は利用できるものは全て利用する主義。ウィリアムズ家という立場も使う。
ウィルおじさん、そして三賢者が犠牲になった「国王暗殺計画」をもう一度実行するほかない。
やり方は全く違えど、冤罪となった彼ら……、まぁ、私はちゃんと計画を立てているから、冤罪じゃないのだけど。
ウィルおじさんが私で、三賢者はお兄様たち。
どれだけ危険な賭けかは重々承知だ。しかも、犠牲者が三人も出る。
私のせいで、またもやウィリアムズ家には大きな迷惑をかけてしまう。……けれど、これぐらい大胆な計画を実行しないと、ジュリー様と直接対峙できることなどない。
裁きを下すのは国王様かもしれないけれど、わざわざ「ジュリー様暗殺計画」にしているのだから、彼女が出てきてくれることを願うしかない。
……後、これはデューク様にバレないように行わないとね。
後でデューク様から怒られるのは目に見えているけれど、たまにはデューク様の手を借りずに自力で成し遂げないと!
いつも頼ってばかりだもの。たまには、私もできるんだってところを見せたいわ。




