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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 良い香りのする応接間……。上品なローズのような香りがする。

 真っ赤なソファに座りながら、ゴードンさんと向かい合ってお茶をしている。

 私の隣にはジル、ゴードンさんの隣にはギルバート。応接間まで行く間に、ゴードンさんが息子の名前はギルバートだと教えてくれた。

 ……でも、何故彼がいるのだろう。

 私はゴードンさんとだけ話せればそれでいいのに。

 私の考えを読み取ったのか、ゴードンさんが苦笑した。

「ギルは不要ですか?」

「ええ」

 私は容赦なく返答した。

 悪女は変に気を遣うことなんてしない。それに、ジュリー様の話は聞かれて困る。

 ギルバードは機嫌を悪くする様子もなく「俺もやることあるし、出て行くよ」と立ち上がった。

「まぁ、待て」

 ゴードンさんはギルバートを止める。

 ……どういう展開? ……ゴードンさんは私がジュリー様について聞きに来たのだと分かっているはず。

「まずは少し親睦を深めましょう。お互いを知ることから始めないと、欲しい情報を得ることなどできませんよ」

 ゴードンさんの言うことは正しい。ギルバードはもう一度席に着く。

「息子さん、ハリスさんだけかと思っていました」

 私の言葉にハハッと声を出しながらゴードンは笑った。

「あの馬鹿はもう私の息子ではないですよ」

 笑顔でなかなか厳しいことを言う。使えないものは容赦なく切り捨てていく世界?

 なかなか悪党っぽくていいじゃない! 彼とは気が合いそうだわ。

「私は恵まれていてね。子どもは沢山いるんですよ」

「それは何よりです」

「ギルは社会性はないが良くできる子ですよ」

 ゴードンさんがそう言うのだから、本当にギルバートはできる人なのだろう。

 ……ハリスさんも出来の良い兄を持って色々窮屈な思いをしていたのかもしれないわね。

 まぁ、この世界ではそんな甘いこと言っていられない。弱肉強食上等! 実力ある者が生き残る!

「その少年は前も連れていましたが、ウィリアムズ家の方ではないですよね?」

 今度は私が探られる番か。

「優秀な私の助手です」

「ほう。随分と若いな……。これからが楽しみだ」

 じっと品定めするかのようにジルを見つめた後、ゴードンさんはフッと表情を緩めた。

「単刀直入に言います。ジュリー様の情報が欲しいわ」

 時間を無駄にしている暇などない。私はゴードンさんの双眸をしっかりと見ながらそう言った。

 いちいち遠回しに探っていられない。聞きたいことは時に直球に聞かないと。

「ジュリー様ねぇ」

 ゴードンさんはニヤリと笑みを作る。

 ギルバートはつまらなさそうにあくびをしていた。……この二人本当に親子か?

「見返りはなんです?」

 やっぱり、ただで教えてくれるわけないわよね。

 きっと彼はお金なんていらないはず。この屋敷を見て分かる通り、とても贅沢な暮らしをしている。それぐらい儲けている。

 けど……。

「ハリスさんの一件以来、オージェス商会の信用が落ちているとか」

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