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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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「ここがオージェス商会」

 私は馬車から降りるなり、立派なお屋敷を眺めた。

 ……ちょっとした貴族と同じぐらい大きな家ね。建築様式は少し独特だけど。

「なんていうか……」

「いかついわね」

 ジルの気持ちを代弁した。ジルは私の言葉に「うん」と頷く。

 町の中でこの家だけが浮いている。ゴードンさんの趣味かしら。経済力を誇示しているように見えるけれど、別に悪い事じゃない。

 ジルがコンコンッと扉をノックする。暫くすると扉がゆっくりと開いた。

 中から背の高いスリムな男性が現れた。

 ……随分スタイルが良い方ね。

 モデルのような彼の体型に思わず見惚れてしまった。二十代後半ぐらいかしら……。ゴードンさんの顔をソースと捉えるなら、彼の顔は塩。

「誰?」

 私の顔を見るなり、怪訝そうにそう尋ねた。

 初対面でため口……。それに身なりからして使用人ではない。……オージェス商会の人間?

「ウィリアムズ・アリシアです。ゴードン様に用事があって来ました」

 私はそう言って、丁寧に挨拶をした。

 彼は面倒くさそうに「父さん~」と家の中を向いて叫んだ。

 …………父さん?

 私とジルは思わず一緒に首を傾げてしまった。

 この人もゴードンさんの息子さん? 似ても似つかない。体型も正反対じゃない。

 ……というか、勝手に息子はハリスだけかと思っていたわ。思い込みは良くないわね。

「……え、てかウィリアムズ家? いや、まさかうちに用なんて」

 私の名前を今更になって一人でぶつぶつと呟きながら確認している。

 この人、変な人ね。

 私がいうのもなんだけど、抜けているというか……。けど、仕事は出来そうなのよね。

 まだまだデュルキス国も面白い人達で溢れている。

「アリシア様!?」

 遠くからゴードンさんの声が聞こえた。

 私が突然現れたことに驚いているのが彼の姿を見ずとも伝わってくる。

「やっぱり、あんた……、ウィリアムズ家の令嬢?」

 ゴードンさんの息子は目を丸くしながらじっと私を見つめた。

「ご名答」

 ご名答というか、さっき自己紹介したんだけどね。

「どおりでその風格……」

「アリシア様」

 彼が言葉を発したのと同時にゴードンさんが現れた。

 やっぱり今日も白いスーツを着ている。ガタイの良いイケオジ。……どっからどう見ても似ていない。

 こうして二人並んだら、少しは似ているところがあるかと思ったけれど、全く二人は似ていない。

 なんなら、息子の方は太陽に浴びたことないのかなと疑いたくなるぐらい肌が青白い。

「お久しぶりです、ゴードンさん」

 私はニコッとビジネススマイルを向けた。ゴードンさんも余裕のある笑みを私に向けた。

 ……私が現れたからといって、一切慌てた様子はない。流石一流のビジネスマンといったところかしら。

「なんの御用で?」

「少しお茶しない?」

 私はビジネススマイルからフッと緊張が解れるような柔らかな笑みを浮かべた。

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