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夕食を終えて部屋に戻ると急に眠気が襲ってきた。
お父様もお母様もお兄様達も私の食べっぷりに驚いていたわね。
普段の三倍ぐらい食べちゃったんだもの。
物凄く寝たいけど、その前に筋トレをしないとね。
私は腹筋を始めた。
正直……、きつい。今は全く筋力がない状態だから50回だけでも辛い。
しかしここで諦めるわけにはいかないのよ。悪女になるためには忍耐力も大切よ。
私は何とか100回終わらせた。
ご飯を食べた後だから少し気持ち悪くなってきたわ。
でも、腕立てなら出来そうだわ。
ううう……。10回目でもう腕が震える。
なんてひ弱な腕なのかしら。七歳の筋力なんて無に等しいのね。
23回目にして体勢を崩してしまった。もう立ち上がれない。
けど、これも立派な悪女になるための試練なのよ。
私は心を奮い立たせて腕立てを続けてなんとか50回終わらせた。
腹筋100回と腕立て50回をなめていたわ。
こんなにきついなんて……けど今日はもう筋トレは終わりよ!
筋トレしたせいで目が覚めてきたし、バク転の練習でもしようかしら。今の私ならかなり体重軽いからバク転なら出来そうだわ。
軽く柔軟をしてから、バク転をする姿勢になった。
私の部屋は結構大きいから、私の体から考えて、、3回連続バク転出来そうね。
勢いよく体を反った。床が見える。久しぶりの感覚だわ。
1回、2回……、3回。出来た!
3回目は若干あやしかったけど、フォームが汚くても一応出来たわ!
前世といえども一度体に染みついたものは出来るものなのね。
そうだわ、悪女と言えば喋り方よ。毒のあるきつい言葉を吐く練習をしましょ。
顔は基本的に意地悪な顔をしながら……、意地悪な顔ってどんな顔かしら。
鏡の前に立って色々な顔を作ってみた。なんだか変顔大会をしているみたいだわ。
私は眉間に皺を寄せたり、目を大きく見開いたり、口角を下げたり……。
私が思い描いている意地悪な顔じゃないわ。
確か、虐めている側っていつも笑っているわよね。
そうよ! 虐めている時に楽しめばいいのよ。つまり笑顔の練習をすればいいのかしら。
私は口角を少し上げた。……上品な笑い方だけで、楽しくなさそうだわ。
思いっきり口角を上げてみた。
……やっぱり、まだ七歳だからか、凄く馬鹿面に見えるわ。
悪女ならもっと含みのある笑いをしなければ。
難しいのね、笑顔って。これから練習すれば上達するかしら。
もう疲れたから今日は寝ましょ。私はベッドに向かおうとした瞬間、重要なことを思い出した。
毒を吐く練習をするのを忘れていたわ!
大変! 悪女の必須条件の練習を怠るところだったわ。
悪役令嬢って、いつもどんな事言っていたかしら。
『そんな事もできなくて?』
『目障りですの』
『貴方にこのお菓子の味がお分かりになるのかしら』
こんな感じの事を言っていたかしら。
その場の流れで毒を吐けばいいって事よね?
……結構簡単じゃない。悪役令嬢に憧れていたんだもの、台詞くらい簡単に言えるわね。
自然と笑みがこぼれてきた。
もしかして、私、歴史に残る悪女になれるのではないかしら。
よしっ、もう寝ましょ。今日は充実した一日だったわ。
明日も早起き頑張りましょ。