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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 カチャッと鍵が回る音が部屋に響いた。

 ……すんなり開いた。私の全魔力を使っても開かなかったのに、この鍵一つで簡単に開いてしまうなんて。

「開いちゃった」

「開いちゃったわね」

「開いたな」

 ジルと私とデューク様が本を見つめながら、同じ内容を発した。

 本のロックが解けたというのに、私たちはなかなか本に触れることができずまじまじと本を見ていた。

「開けたら、おばあさんになったりして……」

「どんな本だよ」

 私の言葉にジルが苦笑する。

 浦島太郎的な展開を脳内で勝手に想像していた。……いや、でもこの本がウィルおじさんの本ならそんな魔法かけるわけないか。

 私がそんなことを考えていると、デューク様が本に手を伸ばしていた。彼の指先が本に触れる。

 その瞬間、デューク様は眉を顰めた。

「どうかしたのですか?」

「この本にかかっている魔法は闇魔法だ」

 ……闇魔法? ウィリアムズ家がこの本に魔法をかけたというの?

 もしそうなら、可能性は一つだけ……。

「おじい様の魔法だわ」

 おじい様がこの本に魔法をかけたという証拠はないけれど、おじい様に違いない。

「アリシアのおじいちゃん?」

 ジルが目を丸くする。私はジルの方を見ながら「ええ」と頷いた。

「確かに彼ならこの強力な魔法をかけることができる」

「中身、読んでみる?」

「せっかく開いたんだもん。読んでみようよ」

 私の言葉にジルは興味津々にそう言った。

 ジルもデューク様もアリシアからどうぞ、と目で私にそう伝えていた。

 私はずっしりと重みのある本を手にして、ページを捲った。

 一番最初のページに『この本をくれたアルベールに感謝を』と書かれていた。

 やっぱり、おじい様だったのね……。

 私はこの本を与えたおじい様の気持ちを考えた。

 きっと、おじい様はウィルおじさんをとても大切に思っていた。……ウィルおじさんが死んだことをまだおじい様たちは知らないのよね。

 ウィルおじさんの死を知った時のおじい様を想うと胸が苦しくなった。

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