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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 生徒会室で優雅なティータイムをデューク様と共に過ごした。

 普段、こんなまったりとした時間を過ごすことはないから、なんだか妙な感じだった。

 というか、デューク様と二人でお茶を飲むなんて初めてじゃない?

 結構長い付き合いだと思っていたけれど、今までこんな過ごし方をしたことはなかった。……本来なら貴族ってこんな風に過ごすのよね。

「変な感じですね」

「何が?」

 デューク様は私の言葉に不思議そうに首を傾げた。

「二人でゆっくりお茶を飲むなんて今までにありました? いつもジルがいたし……」

「いつも何かしらのハプニングに巻き込まれていたからな」

 楽しそうに笑うデューク様を見ながら、こんなハプニングだらけの令嬢を好きになった彼は相当な物好きだなと思った。

「よく私のこと嫌になりませんね」

「嫌になる?」

「自分勝手でいつも何かしらトラブルを起こしているんですよ?」

「そこが好きでたまらないんだろ」

「……デューク様って本当に変わってますね」

「アリシアに言われてもな」

 フッと微笑んだその笑みはとても優しく、思わず釘付けになった。

 デューク様がこんな柔らかな笑みをするのは私の前だけであってほしいと、初めて自分の中で独占欲が湧いた。

 ……私って気づけば相当デューク様のこと好きよね。

 最初はただの美形でどタイプな攻略対象だったのが、いつの間にか恋に落ちていた。

 恋よりもリズさんに勝つことばかり考えていたけれど……、正直、今はリズさんに勝つよりもデューク様に一人の自立した人間として認められる方が嬉しい。

「アリシアと過ごす日々は刺激的で飽きない」

「それは光栄です?」

 褒められているのかどうか分からない。 

 刺激的で飽きないって、まさしく私がトラブルメーカーだって言われているようなものよね?

 ……否めないのが悔しいわ。

 いつもデューク様の方が一枚上手だから少しだけ挑んでみようと思った。

「では、私がいなくなったら、さぞ退屈な毎日になりますね」

 そう言った瞬間、デューク様の顔から笑みが消えた。デューク様はコンっとティーカップを机の上に置き、私の方へと視線を向ける。

 真っ直ぐ私を見つめるその青い瞳に捕まった。目を逸らすことができない。

 何か言葉を出そうとするが、何も出てこない。 

「いなくなるなんて考えられないし、許さない」

 ……私がラヴァール国に行っている間、どうやって過ごしていたのよ。

 いや、私が必ず戻ってくると信じていたのかも。だって、デューク様の行動っていつも私のため……。 

「俺の人生に彩りを与えてくれた女だ」

 デューク様はそう言って、立ち上がり私の方へと顔を近づけた。

 私が惚けているうちに、口付けされていた。柔らかな感触が唇に当たる。

 …………え? 

 いつも私の心構え関係なしにキスされていない?

 何も考えられなくなってしまうぐらいにデューク様は何度も口付けをした。

「あ、あの!」

 私はパニックになりながらも、デューク様を自分の体から離した。

「ちょっと、待って下さい」

 自分の顔の体温がグッと上がっているのが分かる。

 デューク様は少し不服そうな表情で私を見る。真っ赤な顔をして精一杯な私に対して、デューク様のこの余裕に少し悔しさを覚えた。

「私の気持ちが追いつきません」

「散々我慢してきたんだ。これぐらい許されるだろう」

 デューク様はそう言って、私を力強く抱きしめた。

 ……またキスされるかと思った。

 私が止めたから、彼なりに止めてくれたのかもしれない。

「俺の理性はもはや国宝レベルだって言われているんだからな」

 デューク様は軽くため息をつきながら、そう呟いた。 

 私を大切にしてくれているのが伝わってくる。その瞬間、デューク様をとても愛おしく思った。

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― 新着の感想 ―
デュークよ アリシアがいない間本当にどうやって生存していたんだ‥
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