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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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「アリシア、……今の話聞いていたのか?」

 お父様が口を開いた。

 正直に言った方が良いわよね。

「はい」

「記憶を消そう」

「はい?」

 ジョアン様の言葉に私は耳を疑った。

 今なんとおっしゃいました?

 記憶を消すってできるわけ……、魔法なら可能だわ。

 レベル68を習得していたら記憶を消す魔法を使えるんだわ。魔法の種類が載った本に確か書いてあったわ。

 けどそれはちょっとずるくないかしら?

 お父様もしょうがないって顔しないでください。

 記憶を消されるなんて絶対に嫌よ。

「今の話は絶対に口外いたしませんわ」

「口外って、今の話……」

「平民のキャザー・リズが危険人物だという事を誰かに言ったりしませんわ」

 元々誰かに言うつもりなんてなかったけど、口の軽い女なんて思われたくないもの。

 お父様もジョアン様もどうしてそんな困惑した表情を浮かべているのよ。

「キャザー・リズ……」

 あれ? なにその反応。

 もしかしてリズさんの話じゃなかったの?

「分かった。じゃあ、記憶は消さないでおこう」

「有難うございます」

 案外あっさりね。

 私が言うのもなんだけどそんなに簡単に小さい女の子の言った事を信じてはいけないと思うのだけれど……。

 まぁ、記憶が消されなくて良かったわ。

 私は安堵のため息を吐いた。

「アリシア、君は……」

 そこまで言ってジョアン様は口を閉ざした。

 え、そこで終わられると気になりますわ。

「私はそろそろ行くよ。じゃあまた、アーノルド、アリシア」

 ジョアン様はお父様と私にそう言って帰って行った。

 お父様も私の頭を軽く撫でて図書室から出て行った。

 結局ジョアン様は私に何を言おうとしたのかしら。心がムズムズするわ。

 私は心が晴れないまま階段を上った。


 レベル6~10までの本に目を通し、魔法を実践した。

 正直、びっくりするほど簡単でなんだか物足りなかった。それもレベル9までだけど。

 レベル9までは楽勝だったのに、レベル10でつまずいた。

 実践しても全く上手くいかない。

 汚れた水をわざわざ持ってきたのに、ちっとも綺麗にならないじゃない!

 私はもう一度目を瞑り汚れた水に魔法をかける。

 ……ダメだわ。

 コップは綺麗になっている気がするんだけど。

 水は濁ったままなのよね。何かやり方が間違っているのかしら。

 私はレベル10の魔法の本をもう一度読んだ。

 やっぱり間違ってはいないのよね。

 私は前に一度読んだ魔法の種類の本に目を通した。

 ペラペラと適当に捲っていくと、レベル25のところで私の目が留まった。

『レベル25 水を綺麗にする魔法 注意・水魔法を扱うものはより綺麗に出来る』

 嘘でしょ。汚れたものを綺麗にする魔法と水を綺麗にする魔法は別なの?

 こんなの詐欺よ!

 なんだか急に疲労感に襲われた。

 さっきまでの私の時間とエネルギーを返して欲しいわ。

 じゃあ、今私の履いている靴なら綺麗になるのかしら。

 私は足元を見て、さっきまでと同じように魔法をかけた。

 ……ピカピカだわ。新品みたい。

 早く気付いていればと悔恨に似た気持ちが生まれた。

 ダメよ、アリシア! ネガティブになってちゃ悪女になれないわよ!

 この失敗を次に活かせればいいのよ。

 次からは簡単だからって舐めないで、ちゃんとよく調べてから魔法を練習すればいいんだもの。

 私は満足気に笑みを浮かべ一人で頷いた。


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― 新着の感想 ―
バカじゃないあほじゃない永遠に黙れ
2025/08/06 13:43 いつもの景色
なんなんだバカすぎないか
[一言] 基本的に登場人物全員が阿呆過ぎる
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