表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
413/686

413

 ずっと長く終わりが見えない道を歩き始める。

 少しの間、黙ってシーナについて行くが、やはり気になってしまい口を開いてしまう。

「ねぇ」と私の声が響く。シーナは「なんでしょう」と私の方へと視線を向けることなく声を出す。

「魔法がないのに、どうやってこの明かりをつけたの? あと、さっきの滝の間を真っ二つに割ったり……」

 この質問をされることを予め予想していたのか、「さぁ?」とシーナは含みある笑みを浮かべる。

 ……その仕組みは自分で見つけろってこと?

 なんでもかんでも教えてくれるわけないもの。ここはあくまで敵陣。

 手品でもしていない限り、絶対にこの場所に特別な何かがあるはず……。 

 私は死到林での出来事を思い出す。あの時、あの場所にはキイによる魔力があった。

 ということは、一番可能性が高いのは別の妖精がいるってこと?

 ……いや、でもそんなはずないわ。だって、ヴィクターはキイを手に入れることが王位継承権を確固たるものにする条件だったんだもの。

 考えれば考えるほど頭の中が混乱していく。

 この森に村があること自体ヴィクターは知らなかった。ラヴァール国の者たちは誰もここの存在を把握していない。

 ということは、ここに妖精がいたとしても、その存在が露わになることはない。

 じゃあ、やっぱりここに妖精がいるって考えるのが妥当なのかしら…………。

「沢山悩んでいて可愛らしいわね」

 シーナは悶々としている私を見つめながら楽しそうに笑みを浮かべる。私は彼女の表情とは対照的に少しムッとしてしまう。

 ……こっちは真剣に考えているのに。

「こっちよ」

 右と左で道が分かれているところをシーナは右に曲がる。

 私は少し遅れて、彼女の後について行く。

 もう結構歩いているような気がするけれど、まだ目的地に着かないのかしら……。

 景色が全く変わらないから、無限ループの世界に入ってしまったような気がする。

「あとどれくらいで着くの?」

「そうね……。もう少しよ」

 本当にシーナを信用していいのか少し不安になってくる。

 このまま私、ここで祀られている神様の生贄にされたりしないわよね? …………アリだわ。

 神様と戦えるなんて悪女として最高の試練じゃない!

 そう考えるだけで、自然と口元が緩んでしまう。

 神様を倒すことが出来れば、絶対に素晴らしい悪女として名を残すことになる。実際、勝てるかどうか分からないけれど……。

 神に立ち向かったってことはちゃんと世の中に伝えといてもらいたい。シーナに頼んでおこう。

「私が死んだら、ちゃんと皆に伝えてね」

 突然の私の言葉にシーナは少し驚いた様子だったが、彼女は冷静な声で返答する。

「アリシア様が死んだら私がクシャナに殺されます。だから、決して死なせはしません」

「え、私、生贄にされないの?」

「逆にどういう発想で生贄にたどり着いたんですか」

 シーナは呆れた表情を浮かべる。私は彼女の言葉を聞いて少し残念に思った。

 なんだ……。神様と戦えないのか……。

 じゃあ、今から行く先には一体なにがあるの?

こんにちは、バレンタインデーだ~って思っていたら、もう三月になっていて驚いている大木戸いずみです!


いつも読んでいただきありがとうございます(;_:)

とても幸せです……!


大木戸、最近インスタグラムをはじめました~。

良ければ、見てみて下さい。@1987___okidoです。


大変な世の中ですが、皆様に少しでも楽しさを届ければなと思いながら、これからも書いていきます。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「歴史に残る悪女になるぞ」大好きです! いつも楽しませてもらっています。 続きが早く読みたいーー(・∀・)
2022/03/03 18:14 おさかな様
[一言] 神様と戦うアリシアも見てみたい(笑)
2022/03/02 17:13 ちいずけえき
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ