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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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「ここよ」

 私は校舎に入る扉までリズさんに案内してもらった。

 ……ヒロインに借りを作ってしまうなんて。

「誰かに会いに来たの?」

 エメラルドグリーンの瞳が私を覗く。

 なんて綺麗な色なのかしら……。思わず見惚れてしまった。

「アリシアちゃん?」

「え? えっと……。ここまで案内してくれて本当に感謝していますわ。では」

 私はそれだけ言って校舎に逃げ込んだ。

 リズさんに会いに来ましたなんて言えないわ。

 まるで私がリズさんのファンみたいになってしまうじゃない。

 私はとりあえず誰かに見つかるように校舎を適当に歩いた。

 本当に綺麗な校舎ね。埃一つ落ちていないじゃない。

 魔法で綺麗にしているのかしら。

 それにしても人に全く会わないわね。今の時間帯は授業中……?

 校舎に入るタイミングを間違えたわ。

 ……どうせならちょっとくらい見学してもいいわよね?

 だって五年後私はここの生徒になっているんだもの。

 下見させていただきましょ。

 私はだだっ広い廊下を真っすぐに進み続けた。

 全部教室ね。先生の話し声が各教室から漏れている。

 興味深い話ばかりだわ。もっと聞いていたいけど、五年後の楽しみを軽減したくないもの。我慢よ。

 廊下の一番端っこまで来た時に、小さな木の扉を見つけた。

 まるでおとぎの国に出てくる扉みたいだわ。

 この扉の向こう側は一体何があるのかしら。

 私の好奇心がくすぐられる。

 ああ、気になるわ。今すぐ入りたいわ。

 ここがもし生徒も入ってはいけない所だったとしたら……、私ここに入ったら極悪女?

 素晴らしいわ。

 私は勢いよく扉を押した。

 あれ? 開かないわ。もしかして鍵がかかっているのかしら。

 そんなの嫌よ。私は扉についている取っ手を力いっぱい押したり、引いたり……。

 ガンッと廊下に音が響いた。

 私はそのまま尻餅をついた。

 ……開いたわ。引き扉だったのね。

 私は立ち上がってドレスを軽くはたいた。

 微かに本の香りがするわ……。もしかして図書室?

 私は足を進めた。

 入った瞬間、本特有の匂いが私を包み込んだ。

 なんて素敵な場所なの!

 私達が読むためじゃなくて本が安らげる為に作られた部屋みたいよ。

 大きな窓から差し込む朝日。木でできた机や椅子。少し乱雑に置かれた本達。

 私は深く息を吸い込んだ。

 ああ、落ち着くわ。一生ここにいたいわ。

 私は図書室の奥の方に進んだ。

 ……黒板?

 私は黒板に近づいた。

 間近で見ると凄い迫力だった。私の倍ぐらいの大きさだわ。

 どうやって作ったのかしら、こんな大きな黒板。

 黒板を暫く眺めていると上の方に何か書かれている事に気付いた。

 なんて書いているのかしら。

『ラヴァール国を傘下に置く方法 誰でも自由に案を書いてよい』

 ラヴァール国……。傘下に置く……。私は頭をフル回転させた。

 近くにあった椅子を黒板の前に置いた。

 私は椅子の上に立ったのと同時に黒板にチョークを走らせた。


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