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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 私は部屋に入れてもらい、暫くの間彼から説教を受けた。

 目に巻いている布は外して、と言われたのでその通りにして、美しい顔をよく見ながら怒られた。

「これからは遅刻するならちゃんと言ってちょうだい! 心配するじゃない」

 さっきヴィクターに会ったばっかりだからか、ヴィアンがとても良い人に見えるわ。

 私は素直に「ごめんなさい」と謝る。

「もう、いいわよ怪我や病気じゃないって分かっただけ安心だわ」

「ありがとう、ヴィヴィアン~」

 私はそう言って思わずヴィアンに抱きつく。

 今まで私には友達がいなかった。ヴィアンは友達っていうより姐さんって感じかしら。

 デュルキス国ではこんな私を絶対に見せることはない。

「……あ、そうだ、仕事は?」

 私はハッとして、彼の方へと顔を向ける。

「終わったわよ。……というか、貴女が来た時が一番忙しかったのよ。それに、弟の部下が来たから少し意地悪しちゃって、アリシアには仕事を倍以上渡していたのよ。ごめんなさいね」

 ……道理であんなに多かったわけね。

 確かに、あんなの普通の人間にこなせる量じゃない。……と言っても、私やヴィアンはこなしていたのだけど。

「大変な仕事も終わったことだし、今から街に出かけない?」

 ヴィアンはキラキラとした満面の笑みを私に向ける。そんな瞳を向けられたら断れない。私は押しに負けて、頷く。

「そうと決まれば、着替えなくっちゃね!」

「何に?」

「ドレスに決まってるでしょ」

 楽しそうにヴィアンはそう言った。

 確かに第一王子のまま街へ出かけるのは危険だけど、女装したヴィアンも間違いなく目立つ。こんな美人なかなかいない。

「ほら、貴女も選びに行くわよ」

 ヴィアンは立ち上がってそう言った。

「え、私も?」

「当たり前じゃない。ウィッグも沢山あるから大丈夫よ!」

「そういう問題じゃなくて、ちょっ」

 私の話など聞く耳を持たず、強引にヴィアンは私の手を引っ張る。

 ヴィアンは鼻歌を歌いながら、部屋の奥にある扉の鍵を開けて、そのまま私を中へと連れ込む。

 その中は今まで見たことの無いぐらい大きなクローゼットだった。

 色とりどりの大量のドレスに、色々な形のウィッグがたくさん並んでいる。これを全部売ればお城一つは買えるだろうと思うぐらいの大量のアクセサリー達。細部まで凝って作られた多くのヒール。

 それらが見事に並べられている。まるでお店に来たみたいだ。

 私は呆けたまま、部屋の中を見回る。レース、宝石、生地、全てが最高級のものだ。

 これを全て隠れて集めていたなんて……。凄いという言葉以外出てこない。

 煌めく宝石箱の中に入った気持ちだわ。

「けど、これ、全部ヴィヴィアンのサイズよね?」

「ええ、けど、幼い頃に集めていたものもあるから、アリシアに入るドレスもあるわよ」

 彼は自信満々にそう答えた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヴィヴィアンと町探険、楽しそうです。いいなぁー。
[一言] 筋金入りだ
[一言] これは・・・デートですよね?
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