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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「……魔法の面ではウィルに似ているな。わしらが見ている通りお前が賢いことはよく分かっているが、まさか特例が出せるほどだったとはな」

 感心するようにおじい様は私を見つめる。彼は続けて言葉を発する。

「私が魔法を教えてやろう。今日から毎日ここに来るといい」

「え、でも本が……」

「本などなくとも全て頭に入っている」

「ありがとうございます」

 私はそう言って、口角を上げてお辞儀をする。

 なんて素晴らしい先生なのかしら。……結局魔法学園で少しも魔法のことを習っていないけれど。

「では、今から少しラヴァール国の話でもしようか」

 そう言って、おじい様は近くにあった椅子に腰を掛ける。

 私は大きな窓際に座る。アルビーも蛇の姿に戻り、私の隣に寄ってくる。黒猫はおじい様の膝の上に飛び乗った。

 なんて素敵な時間なのかしら。私はそんなことを思いながらおじい様の話を聞いた。

 彼の話はとても衝撃なものだった。私の価値観では受け止めきれなかった。

 サンチェス家とハリスト家の二つが王家として存在するようだ。どちらも権力を持っており、王家を一つに絞れなかったらしい。

 だから、一年ごとに政権を交代するという制度が出来たらしい。それがサンハリ制度。

 とてつもなく安直な名前の付け方だけど、覚えやすいから、そのネーミングセンスには触れないであげて。

 サンハリ制度は最初は上手くいって、両家ともとても仲が良かったらしい。けど、この世代である事件が起きたらしい。それがとんでもなくややこしい事件なのだ。

 サンチェス家の当主がハリスト家の令嬢と恋に落ち、ハリスト家の当主がサンチェス家の令嬢と恋に落ちた。そこで生まれたのがヴィアンとヴィクター。今の国王はサンチェス家の人間。

 ヴィアンも王子だが、ヴィクターも王子だ。サンチェス家とハリスト家の間には男尊女卑がない為、彼らの子ども二人に王位継承権の権利が与えられる。

 両家とも物凄い大きな家だから、親戚同士で結婚するらしい。近親相姦って言われるかもしれないけど、そんなことはないらしい。あまりにも大きすぎて、分家が沢山あるようだ。その中でも強い権力を持っている人間が王の座につけるようだ。

 ちょっと話が複雑すぎて禿げそうよね……。

 ヴィクターはほとんど養子のような形で幼い頃からサンチェス家と共に過ごしている。

 サンチェス家もハリスト家も金髪に黄緑色の瞳の人間が多い為、ヴィクターがサンチェス家に行ってもとくに違和感はないということだ。

 おじい様から全て聞き終えた後、私の脳みそはショート寸前だった。

「あの、おじい様……」

「何だ?」

「話がややこし過ぎません? どうして今回に限ってそんな恋になったの?」

「まぁ、恋というものはそういうものだ。駄目だと分かっていてもどうしようも出来ないだろう。まぁ、分家の方では違う家の者と結婚することはあったみたいだけどな」

「だって、そうなると家系図が迷路になりますよ」

「家系図なんて奴らには関係ないのだ。過去のことなど気にせず、未来のことしか見ていない奴らだ」

「カルチャーショックってこういうことを言うのね」

 静かな空気の澄んだ部屋に私の小さな呟きが響いた。

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― 新着の感想 ―
禿げちゃダメだよ、アリシア。
[気になる点] 男尊女卑とは? ヴィクターもヴィアンもどちらも男ですよね? ……どういうこと? 分家の人にも王位継承権はあるってことですか?
[一言] 流石です!お祖父様! 伊達に賢者と呼ばれては無かったか!
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