表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
316/710

316

 デュークとエリックが何を話しているのか全く聞こえない。 

 じっちゃんなら聞き取れるんだろうな。……もしかしたら、アリシアも聞き取れるかもしれない。

「何話してるんだろ~」

 メルが目を凝らしながら彼らの方を見る。デュークが淡々と話している。エリックの表情が段々深刻になっていくのが分かる。

 ……一体何を言ったんだ?

 僕はデュークの唇の動きに集中する。読唇術より読心術の方が得意だけど、デュークは表情一つ変えないから、言葉から内容を読み取らないと。

『ラヴァール国でアリシアが生き残れると思っているのか?』

 デュークはエリックにそう言った。

 本音ではないことは僕らには分かるが、よくあんなにも眉一つ変えないで嘘をつける。

 アリシアには絶対に言えないけど、彼女がデュークを超えることは出来ないと思う。だって、アリシアは真っ直ぐで良い人だから。

 デュークみたいに騙すことを平気で出来る子じゃない。だからこそ、デュークはこの国の政をこなすことが出来るんだよね……。

「終わったみたいだぞ」

 ヘンリが隣で呟く。エリックは校舎の方へ入っていき、デュークが僕らの方に戻ってくる。

 どうなったんだろう。デュークはもうちょっと感情を表情に出して欲しい。

「上手くいった? エリック捕らえられる!?」

 なんでメルは誘拐前提で話を進めるんだ。

「まぁ、多分大丈夫だろ」

 デュークはそう言って、エリックが入っていった校舎の方に視線を向けた。

「なんでアリシアの話したの?」

「アリシアの話をしてたって分かったのか」

 彼は驚いた表情をして、僕の方を見る。

「ちょっとだけだけど、口を読み取って」

 僕の言葉にデュークは感心するように僕の頭を撫でて「流石だな」と呟く。

 いつまでも子ども扱いだ、とも思う。けど、デュークに褒められるのは嬉しい。きっと、何歳になってもこの気持ちは変わらないだろう。

「エリックはアリシアのことを賢いなんて思っていない。だから、国外追放された彼女がラヴァール国で生きていけるとは思わない。そんなこと今まで考えたことなかったんだろうな。エリックはリズに助けてもらうと言って彼女のところに向かったはずだ」

 デュークの言葉に僕はため息をつく。

 なんて自分勝手で馬鹿な人間なんだろう。自分達がしたことの重さが分かっていないのか……。

 アリシアをこの国から除外すればいいってだけの考えで彼女の生死なんてのはどうでも良かったのか?

 デュークに言われて気付くなんて、呆れて何も言えない。リズ派だと誰かが死ぬなんていうのは許せないはずだ。だから、エリックも動いたのだろう。

 ……まぁでも、アリシアなら、もし彼らに止められても強行突破して国外追放になってみせるだろうけど。彼女は自分を悪女に見せる為だったら、基本何でもするからね。

 ああ、本当に魔法の力というのは恐ろしい。

 全員が全員アリシアの考えじゃなくてもいいけど、今はリズにあまりにも偏り過ぎているから危ないんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 何となくダラダラ続いていて、物語がなかなか進んでいない気がします。このままだとみる気が失せてしまうので早く主人公を戻して欲しい
[一言] ラヴァール国編がつまらんなぁ 更新が遅い割に物語が遅々として進まないから ある程度貯まってからまとめて読もうかなって感じだな
[一言] 私は、ジル、あなたの優秀さが恐ろしい…(笑)。魔法にかかってなくても、エリックみたいになってる残念な人はいますけどね…。魔法が原因なら、まだ、救いようがありそうです(笑)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ