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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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「で、どうするの? これ」

 メルは縄でベッドに拘束されたアランを指さしながら冷たくそう言った。

 本当にリズ派の人間に対しては容赦ないな。

 状況を把握すると、アランを捕まえた後、ヘンリが馬車で屋敷を抜け出し、デューク達と合流した。そして、誰にもばれないよう裏口を使い、今デュークの家、つまり王宮にある隠し部屋にいる。

 メルは本気で地下牢に閉じ込めたかったみたいだけど、流石に可哀想だから僕とデュークが止めた。

 僕はアランの方に視線を移す。

 当たり前に美形だ。骨格が少しだけアリシアに似ている気がする。やっぱり血は繋がっているんだな。

 それにしても、一体いつ目覚めるんだろう。もうアランが眠ってから十時間は経過している。

「起きないね」

「もう少し軽い睡眠薬でも良かったかもな」

 僕の言葉にヘンリは苦笑する。

 いや、最初は睡眠薬なしで捕まえる予定だったじゃん。

 口には出さず心の中でツッコミをいれておく。彼らにいちいちつっこんでいるときりがない。

「起こすか」

 デュークがそう呟いて、指をパチンッと鳴らす。

 それと同時にアランの顔にバケツ一杯分の水が落ちてきた。

 流石水魔法!! ……って感心してる場合じゃない。五大貴族のご子息様だというのに酷い扱いだ。

「ん、んん」

 アランはゆっくりと目を開ける。 

 僕達は誘拐犯なので、もちろん声が出ないように布で口を覆っている。これは必須だ。

 デュークの姿を見て、アランの瞳が大きく開くのが分かった。

 確かにこの拉致事件の陰謀者が王子って知ったら驚くよね。

「あ! 目覚ましたよ! おはよ~~」

 明るい声でメルはアランを見ながら手を振る。

 アランは何をされるか分からないという恐怖で体を震わせる。

「大丈夫、危害は加えないよ」

 僕はアランに少しでも警戒心を軽減してもらおうと、そう言った。

 まぁ、状況的に信じてもらえないだろうけど。

「え、加えないの?」

「加えるつもりだったの?」

 メルが驚いた様子で僕の方を見たが、びっくりしたのは僕の方だ。

 いつからメルはそんな過激派になっ……、この子は最初からずっと過激派だった。

「ん! んんん!!」

 アランは一生懸命叫んでいるが、何を言っているのか全く分からない。

「なるほど! アリアリが大好きだって叫んでるんだね!」

 メルは目をキラキラさせながらそう言った。

 アランはデュークの方を見ながら必死に訴える。

「んん! んんんん!」 

「ヘンリ、布を外してやれ」

 デュークの言葉にヘンリは従う。

「声が漏れるんじゃ……」

「魔法で外に音が一切漏れないようになっている」

 デュークは僕の小さな呟きに答えてくれた。

「じゃあ、なんで布を巻いたりしたの?」

「そっちの方が恐怖心を刺激できるだろ」

 デュークはそう言って、口の端を上げる。

 ……うわぁ、やっぱりデュークだけは敵に回したくない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「そっちの方が恐怖心を刺激できるだろ」wwwwww こいつらもうめちゃくちゃだぞ
[一言] んー…敵に回したくない(笑)アランへの魔法、解けるんでしょうか。久々に、まともなアランに会える事を願いつつ、先の展開に期待してます!
[一言] ある意味、洗脳されていないのにここまでするコイツらもヤバイな。
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