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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「重税をかけるのか?」

 ヴィクターは私の提案が気に入らなかったらしく、眉間にグッと皺を寄せる。

「はい。私のおかげで助かったのならそれぐらいの報酬は頂いてもいいのでは?」

「反感を買うぞ」

「誰が誰の反感を買うのですか?」

「お前が国民からの反感を買うんだ」

「何故です?」

 私は小さく首を傾げた。

 今の私、まさに悪魔のようだわ。それに反感を買ってこそ私という価値が成り立つのよ。

 これでこの国でも悪女として記録されたら私は最高に幸せよ。

「馬鹿と天才は紙一重か」

 ヴィクターは小さくそう呟いて呆れるように私を見る。

 そこまでの重い税を課すつもりはないけれど、しっかり生活できる範囲内でお金は貰うわ。破産しては意味ないもの。

「命が助かる希望を与えるんじゃなくて、命が助かる確証を与えているのよ?」

「そうだとしてもだ……」

「一体何が不満なの? 貴方の面子が潰れるから?」

「ああ、そうだよ。金が欲しいのなら俺がいくらでもやる」

「自分の力で得たお金でないと意味ないのよ」

「じゃあ、遠征の報酬だ」

「そうやって偽善者を装っても国は動かないのよ。私は私なりのやり方があるの。誰にも邪魔させないわ」

 不穏な空気が漂う。

 本当に今日からこの部屋で一緒に寝るのかしら。息が詰まって眠れないわ。

「お金だけで財政が潤い、国が良くなるなんて思わないことね。一番は国民がどう動くかよ。無償で助けるなんてことは教会がやってれば充分なの。既に徴収している税じゃまかないきれないから税を重くするのよ。安全を守るためにはそれぐらいはしないといけないわ」

「今の税だけでは解決できないのか?」

 ヴィクターの言葉に私は少し考える。

 ラヴァール国の予算を完全に把握しているわけじゃないけど、多分無理なのよね。この世界には保険制度や社会福祉制度がないはずだったけど、多分国家の予算はキツキツ。道路の舗装だけならこんなことにはならないのだけど……。

 茶会やら宝石、ドレスなどで無駄遣いする馬鹿貴族たちがわんさかいるせいでこうなっている。大国ってそこが大変よね。国が大きい分人数が多いんだもの。

 貴族の無駄遣いを根本的に解決しないといけないところなんだけど、今の私の計画が成功したら、彼らに制裁を与えた上で国の動きが良くなるはず。

 一度大きな打撃を全体に与えるべきなのよ。細々と時間をかけて解決していくより未来のことを考えたら私の計画の方が断然効率がいいはずだわ。

「何を企んでいるのか分からないがやめておいた方がいい」

「どうしてですか?」

「国民を敵に回すことはしたくない」

「逃げるの?」 

 彼は私の言葉に片眉をピクッと動かす。

 ヴィクターみたいな性格の人は「逃げる」という行動が大嫌いなはず。……今、ここで彼を煽ってもしょうがないか。

 私は続けて言葉を発した。

「それに、国民を敵に回すのは王子ではなく私です。王子の部下が金に目がくらんだとでも報道してくれて構いません。どうぞ存分に被害者になってください」

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― 新着の感想 ―
 悪女の面目躍如!
[一言] コロナを通じて、伝染病の怖さ、今、身をもって感じてますからね…。いい結論に達すればいいな、と思います。
[一言] アリシア…まさか貴族にも課税をかける気…?なんて恐ろしい企み! あと、貴族の資格試験は公務員試験とか官僚の試験とかみたいな感じかな?
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