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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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今回は少し暴力的なシーンがあります。


皆様ブックマーク登録有難うございます!

自分の小説を読んでもらえている事が本当に嬉しいです。

 太陽が出ている時間帯の森は全く怖くないのよね。

 どうして夜になるとあんなに不気味になるのかしら。

 私はフードを深くかぶり霧を抜けた。

 本当に太陽が見えないわ。世界から見放された場所みたい……。町とは大違いだわ。

 二年間もここに来ていたら、この強烈な匂いにも慣れるものなのね。

 私は一歩ずつ足を進めた。

 目の前で起こっている光景が信じられなかった。自分の目を疑った。

 殴り合いは当たり前だし、夜より呻き声が聞こえる。

 手や足がない人が沢山いるわ……。それに体中傷だらけ。

 夜は分からなかったけど、地面に血しぶきがついている。

 私は恐怖で体が震えた。

 服がもうほとんど破れている。それに体が汚くて髪の毛もぼさぼさの人達ばかり……、お風呂がないんだわ。

 だって水といえば、あの噴水の泥水しか見た事がないもの。

 突然、子供の泣き叫ぶ声が聞こえた。

 その声の方に目を向けると小さな男の子が頭から血を流し倒れこんでいた。

 男の子の目線の先には鉄の棒を持った大男が立っていた。鉄の棒には血がついていた。

 あの血は、男の子の血? どうして彼は笑っているの?

 大男は大きな口を開けてガハガハと笑っている。前歯一本しかないのが分かった。

 大男はゆっくり鉄の棒を引きずりながら男の子に近づいていく。私は体の震えが止まらなかった。

「アリシア、何故この時間にここに居るんじゃ?」

 ウィルおじいさんの声が後ろから聞こえた。

 私が何か言う前に、ウィルおじいさんが私を霧の方へ押した。

「今日は帰りなさい。二度とこの時間にここに来ては行けない」

 私はそのまま森の方へ出た。それからお屋敷の方へゆっくりと歩いた。

 今何が起きていたのか頭の中でまだ理解できていない。

 あそこが……、貧困村。


「アリシア様! どこ行っていらしたのですか?」

 ロゼッタが私の方へ向かってくる。

 私は茫然としたままロゼッタを見た。

「アリシア様? どうなさったのですか?」

 ロゼッタが私の顔を覗き込む。

 あの男の子はどうなったのかしら……。

 何も出来なかったわ。

 ただ手をこまねいて見ていただけよ。怖くて動けなかったのよ。

「アリシア様?」

 手を差し伸べられなかったのよ……。

 こんなにも悔しい思いをしたのは初めてよ。私はなんて弱いの。

 よく悪女になりたいなんて言えたわよね。

 自分への怒りが込み上げてきた。

「大丈夫ですか?」

 ロゼッタが私の肩を揺すった。

 ロゼッタが心配そうな顔で私を見ている。

「私、図書室に行ってくるわ……」

 それだけ呟いて私は図書室に向かった。

 強くならなくちゃ……。

 その為にはまずどうして貧困村ができたのか調べなきゃ。

 私はひたすら貧困村についての本を探した。

 全然見つからないわ。もう何時間経ったのかしら。

 私は踏台の上に立って一番上の段から念入りに探した。

 ……これは、魔法関連についての本?

 私がたまたま手に取った本が魔法の種類について書かれている本だった。

 どうして探している時に見つからなくて、今見つかるのよ。

 この本の周りに置かれている本を見たが、これ以外魔法関連の本はなかった。

 これだけ間違えて誰かがここに置いてしまったのかしら。

 私はページを捲り目次を見た。

 水魔法、光魔法……あった! 闇魔法!

 私は闇魔法の種類が書かれているページを開いた。


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