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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
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 ラヴァール国に国外追放は修行みたいな感じなんだもの。

 暫くしたら、デュルキス国に戻るっていう悪女再来計画を企てているのよ。

 こんなにもヴィクターのお気に入りだったなんて……。

「おい、なんで嫌そうな表情浮かべてんだ。殿下からのこんなお言葉一生かけても頂けないぞ」

「チビ、お前、王子に気に入られているってことがどれだけ凄い事なのか分かってないだろ。ヴィクター王子の騎士である限り、こんなに価値のあることは他にはない」

 マリウス隊長に続いて、ケレスも言葉を挟む。

 名誉であることは充分わかっているけど、正直そこまで求めていなかった。ヴィクターにとって私が必要不可欠な存在になるのはあまり良くない。

 いつか私が彼の前から去るってことも考えておいた方がいいなんてここでは言えない。

 というか、そんなの不敬罪で捕まってしまうわ。またあの闘技場に行く羽目になるかもしれない。

「ありがとうございます?」

「何故疑問形なんだ」

 私の言葉にヴィクターは眉間に皺を寄せる。

「あの、一つだけ確認してもいいですか?」

「ああ」

「第一王子のことです」

 一瞬でヴィクターの表情が変わった。露骨に嫌な表情を浮かべる。

 そんなに毛嫌いしなくてもよくない? 兄弟なのにこんなにあからさまに嫌悪感丸出しにするもの?

 私もアルバートお兄様やアランお兄様には好かれていなかったけど、私は別に嫌いじゃなかった。

「彼は王位継承を本気で望んでいるのですか?」

「さあな」

「本当に何も知らないのですか?」

 私が更に探りを入れた瞬間、その場の空気が一気に凍りついた。

 ヴィクターからとてつもない殺気が溢れている。今にも私を殺しそうな勢いだ。

 あら、触れてはいけないところにずかずかと入り込み過ぎたみたい。

「お前、誰に口をきいているかよく知った方がいいぞ。……マリウス、こいつの指を切り落とせ」

 彼の静かな口調に誰もが固まる。ヴィクターが本気で言っているのが分かる。 

 荒い人間だっていうのは知っていたけれど、まさかここまでとは……。

「マリウス」

 ヴィクターの澄んだ低い声が部屋に響く。その言葉にマリウスはビクッと小さく体を震わせる。

「で、でも殿下」

「いいからやれ」

「考え直した方が賢明だと」

 おじい様がヴィクターの怒りを鎮めるようにそっと口を挟む。

「うるせえ。こいつは調子に乗り過ぎだ。少しは学ぶべきだ。自分の立場を分からせてやる」

 ……残念だけど、貴方じゃ私の足元にも及ばないわ。

「短気は損気ですよ、王子」

「は?」

「なんでこの状況で笑ってんだよ」

「……怖いもの知らずにも程がある」

 ヴィクターの言葉の後にケレスとニール隊長の声が聞こえた。

「お酒でも飲んで落ち着いて下さい」

「俺をなめてるのか? それとも本当に死にてえのか?」

「死ぬ場所は自分で選ぶので」

「なんでそんなに堂々としてるんだよ。早く謝れ」

 ケレスは私にそう囁く。私の心配をしてくれるなんて良い人ね。

 私は隣国の王子に殺されるほど弱くない。それに、最近悪女らしいことをしていなくて、そろそろ刺激が欲しかったのよ。

 ヴィクターは私から目を逸らさずに口を開いた。

「マリウス、早くこいつを押さえつけろ」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ここでむやみに突っぱねる意味が分からない。 格好いいというよりも、イキリ太郎化してない?
[一言] アリシアの指なんか切ったら、反転されて自分の指が落ちちゃうんじゃないかなー。(そんな魔法有るか知らないけど) それより身体強化で剣の刃がボロボロかな>
[一言] ぶっちゃけアリシアなら指切っても生えてきそう。
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