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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 ……今なんて言ったの?

 私の聞き間違いかしら。ハゲっていったのよね?

「ライオンと戦う度胸がある女だ、俺の前で裸になることぐらい簡単だろ?」

 ヴィクターが私を挑発するようにニヤリと笑う。

 待って待って、私の裸なんて誰に需要があるのよ……じゃなくて、一応まだ爵位剥奪されていないから、流石に裸になるのはまずいわ。

「男同士なのに、なんでそんなに躊躇ってるんだ?」

「いきなりそんなこと言われたら引く」

 ここで動揺を見せたら終わりよ。頑張るのよ、アリシア。

 私の言葉に彼は小さくため息をつき、呆れた表情を浮かべる。

「お前、風呂どうするつもりだったんだ? 男ばっかりの浴場に放り込まれるんだぞ?」

「どういうこと?」

「まさか……風呂入らないつもりだったのか!? こんなに汚くて臭いのに」

 ぶっ飛ばすわよ。

「兵士は一気に大きい浴場に入れられるんだよ」

「僕は兵士じゃない」

「ああ、もっと下の奴隷に近いな。ここで兵士になるなんて夢のような職業だ。それを親父はどういうわけか、お前を兵士としてここに連れてきた」

 そんなの聞いていないわ。国王様から直接話を聞く時間なんて少しもなかったし。

 是非ゆっくりと会話してみたいわね。……兵士にそんなこと不可能だろうけど。

「お前には、時間をずらして風呂に入ってもらう。……あ~あ、なんで俺がてめえみたいなガキに気を遣わないといけねえんだよ」

 そう言って、ヴィクターは頭をガシガシと乱暴に掻く。

 なんだかんだ言って、優しいのね。私、もっと酷い扱い受けると思っていたわ。

 奴隷用の焼き印を押されるとか、重い足枷で縛られるとか……そんな感じなのを想像していた。

「お前みたいな異端児は周囲から要注意人物として見られているから気をつけろよ」

 まぁ、それはそうよね。

 たとえ闘技場で拾われたのだとしても、他国のスパイと思われる可能性が充分にある。そして、実際私は密偵みたいなものだもの。

「分かった」

「……もう下がれ」

「風呂はどこ?」

「あ? ……ああ、もう、まじでめんどうくせえ。ついて来い」

 ヴィクターは物凄く不機嫌な顔をしながらそう言って、部屋を出て行こうとする。

 衛兵に頼まないのね。

 私は置いていかれないように、彼の後を追った。


「ここが、風呂だ。俺が見張ってやるからすぐに出てこい。五分だけ待ってやる」

 ヴィクターは汚れ一つない新しい服を私に投げつける。

 あら、良い匂い。やっぱり王宮で洗濯されている衣類って綺麗ね。

「なんで俺がこいつの為に動かないといけないんだよ」

 ぶつぶつ文句言っているけど……、めっちゃ良い人じゃない!

「有難う」

 短くお礼を言って、お風呂へ向かった。

 ……でかすぎない?

 脱衣所の奥に大浴場が見える。一体何人の人間が入るのかしら。ここを貸し切り出来るなんて、贅沢過ぎない?

 髪や体についていた灰も全部綺麗に洗う。元々髪質が良いから、水で流しただけで、髪の毛もサラサラになる。黒く汚れた水が排水溝へと流れていく。

 こんなに汚れていたのね……。私、よくこんな姿で王子の前で堂々とできたわね。自分で自分を褒めたいわ。

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― 新着の感想 ―
ハゲって言ったのよね?は草
[一言] 5分は短すぎる。遅れても待っててくれるんだろうけど
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