表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
178/634

178

「ラヴァール国って魔法を使える人間が物凄く少ないみたいよ」

 デューク様の所へ向かっている途中で、女子生徒の言葉が私の耳に響いた。

 ……ラヴァール国って大国よね? なのに魔法を使える人間が少ないの? 現在の世界情勢がいまいち把握しきれていないわ。過去を勉強するより、現在、未来の為に勉強した方が賢明よね。

 私は女子生徒の言葉を聞いてからそんな考えが頭をよぎる。

「ねぇ、ジル、ラヴァール国って一体何人くらいの人が魔法を使えるのかしら」

「……実際にラヴァール国に行った事がないから分からないけど、少ないはずだよ」

「どうして?」

 私の言葉にジルが瞳孔を開いた。

「どうしてって、そういう国なんだよ」

「貴族でも魔法を使えない人がいるって事よね?」

「ほとんどの貴族が魔法を使えないと思うよ」

 ジルが当たり前のようにそう言った。

 ほとんどの貴族が魔法を使えない? じゃあ、一体誰が魔法を使えるの? ラヴァール国の王族だけとかかしら。けど、それはあまりにも少なすぎるわね。

「いつだって客観的に世界を見ろって言ったのはアリシアだよ? デュルキス王国は他の国に比べて魔法を使える人が多いんだ。ラヴァール国が少ないんじゃなくて、この国が多過ぎるだけだよ」

「他国では魔法を使える人間は希少価値のある存在ってわけね」

「そういうことだね」

 ……ラヴァール国を傘下に置くためには、やっぱり内情をよく知らないといけないわ。

 ぐだぐだ考えている時間はないわ。一刻も早くラヴァール国に行かないと。

「アリシア、デュークが来たよ」

 ジルの言葉で私は我に返った。廊下の奥の方から、凄まじいオーラを放った王子が歩いてくるのが分かる。

 ……ああ、そうだったわ。本来の目的をすっかり忘れていたわ。

 ラヴァール国に国外追放される計画を立てるのに夢中になってしまっていたわ。

「そういえば、私、どうしてデューク様を探していたのかしら……」

「は? 何言っているの、アリシア」

 ジルが心底呆れた表情を浮かべながらそう言った。

 デューク様に会うまでに色々な事がありすぎたのよ。目の前の問題を解決していくとかなり時間がかかってしまったのよね。

「アリシアって、たまに馬鹿になるよね。……デュークに謝るんでしょ?」

 あ! そうだったわ。デューク様に謝らないといけないのよ。

「どうして……」

 私がそう言うと、ジルは今までに聞いた事のないような大きなため息をわざとらしく吐いた。 

「他の男には心は揺れ動く事はあっても、デュークは絶対にない、みたいな事言ったのは誰だっけ?」

 ……思い出したわ。あの言葉は冗談として受け取って欲しかったわ。

 まぁ、悪いのは私なんだけど。ちゃんと謝らないとね。

「デューク様」

 私はデューク様の正面に背筋を伸ばして立ち、彼をじっと見据えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いろんなキャラの考えや性格が徐々に分かっていってどのキャラにも愛着がわくようになってきた。 [気になる点] リズだけでなくアリシアもただ自分の力を振りかざすやばい女になってきているため、頭…
[一言] この178話で、アリシアがラヴァール国に魔法が使える人は凄く少ないなんてという事で驚くシーンがありますが、であれば156話の  >ヘンリお兄様は少し考え込んだ顔をしながらそう言った。 >魔法…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ