表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ
17/710

17

 夕食を食べ終えて、私はすぐに部屋に向かった。

 貧困村に行くための準備をしようと思ったが何も思いつかなかった。

 様子を見に行くだけだから何もいらないわよね。

「アリ~! デュークがお前に会いに来たぞ」

 はい? 今なんて言いました?

 アルバートお兄様の声が聞こえたけど、きっと空耳よね?

「アリ~!」

 空耳じゃないみたい。私は部屋を出て客間に向かった。

 デューク様が私に会いに来るなんて一体何事ですの? たいして話した事もないし……。

 確かにゲームではアリシアはデューク様にメロメロだけど、今の私は結末を知っているのでメロメロになんてなっていない。

 私に会いにくる理由が全く分かりませんわ。

 客間に入るとアルバートお兄様とデューク様がいた。

 私は軽くお辞儀をして挨拶をした。

「デュークがアリに渡したいものがあるそうだ」

 私が用件を聞く前にアルバートお兄様がそう言った。

 私がキョトンとしていると、デューク様が優しい表情で私の方に近づいてきた。

 やっぱりこの人は危険だわ。そんな顔で近づいてこられたら心臓が飛び出ます。

 自分の脈拍が上がっているのが分かる。

「少し遅くなったが、誕生日おめでとう」

 そう言ってデューク様が小さな箱を渡してくれた。

 私は想定外の出来事に思わず固まってしまった。まさかデューク様が誕生日プレゼントをくれるなんて思ってもいなかったからだ。

 だってゲームではアリシアに一つもプレゼントを渡した事がなかったんだもの。

 ひょっとして私に気があるんじゃないかって思ったけど、考えてみれば私とデューク様は五歳も歳が離れているのよ。デューク様にとって私は妹的な存在なのかしら。

 でも本当にろくに会話した事がないから、プレゼントを貰える意味がよく分からないわ。

「有難うございます」

 私はそう言って小さな箱を受け取った。

「中を見てもよろしいでしょうか?」

「ああ」

 デューク様から許可をもらったのでそっと箱を開けた。

 あまりの衝撃に私はそのまま箱を閉じてしまった。

 今のは……、私の見間違い?

「気に入らなかったか?」

「い、いえ。あのこれは……」

 私は咄嗟に否定して、中身のものをデューク様に確認した。

「ネックレスだが」

「いえ、あの、真ん中についている宝石は……」

「ああ、ダイヤモンドだ」

 やっぱりそうですよね。

 いくら国王様の息子でも八歳の女の子に渡すには高価すぎません?

「アリ、デュークが嫌いじゃないなら有難く受けとっとけ」

 アルバートお兄様が私の表情を察してそう言った。

 嫌いなわけない、むしろ好きだ。

 私は深くお辞儀をしてお礼を言った。

 悪女なら高価な宝石ぐらいで狼狽えるはずないだろうけど、流石にこれは狼狽える。

「用も済んだし、今日はこれで」

 デューク様はそう言って部屋を出て行った。

 本当に私にプレゼントを渡すためだけに来たんですか……。

 アルバートお兄様とお話とかなさらないのですか。

 私は驚きのあまりお見送りするのを忘れてしまった。

 もう一度箱を開けて中を確認した。やっぱりダイヤモンドだわ。

 この国でのダイヤモンドの価値は前世での世界と比べものにならないくらい高価なのよ?

 それを贈り物にするなんて……。しかも八歳の女の子に……。

 私は今目の前で起こった事が未だに頭で処理できていなかった。

 輝くダイヤモンドをよく見ると薄く青みがかっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ