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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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「早く離してください」

「本当に強情だな」

 そう言ってデューク様は私を床に優しく降ろした。

 勿論、デューク様達の教室に入ってからだけど。

 ああ、物凄い注目されているわ。

 学園一の嫌われ者が学園一の人気者に担がれて教室に入って来たんだもの……。

 私、悪女っていうよりダメな子って印象の方が強いんじゃないかしら。

「なんでアリシアがここにいるんだ?」

 真っ先にアルバートお兄様がそう言った。

 一番後ろの席から私を見ている。

 なんだか大学みたいな教室ね。大部屋だし……。

 まぁ、大学になんて行った事ないんだけど。

 ざっと見渡した感じだと後ろになればなるほど位が高くなっているって感じかしら。

「今日から俺達と一緒に授業を受ける」

 デューク様が無表情でそう言った。

 デューク様ってアルバートお兄様に対してこんな表情をするお方だったかしら。

「その少年も一緒に?」

 ゲイル様が怪訝な表情でジルを見つめた。

 ジルは物怖じする事なくゲイル様をじっと睨む。

 ……正直なところ、早くここから立ち去りたいわ。

 こんな雰囲気で授業を受けても何も身につかない気がするもの。

 でも、ここで逃げたら悪女としては失格だし……。

 本当に色々と最悪な展開だわ。

「ほら、早く席に着きなさい」

 後ろから柔らかい穏やかな声が聞こえた。

 この声って……。

 私は後ろをゆっくり振り向いた。

 彼は確か、二年前にリズさんの論文を渡してくれた方。

「ジョン先生?」

 私がそう言うとジョン先生は目を少し見開いた。

「おお、私の事を覚えてくれていたのか」

 ジョン先生は笑って温かい笑顔を私に向けてくれた。

 あら、なんだか新鮮だわ。

 この学園でそんな風に笑顔を向けられるなんて。

「ジョン先生、今日からアリシアはここで授業を受けます」

 デューク様がジョン先生の目を見ながらそう言った。 

 聞くんじゃなくて、宣言みたいに言うのね。

 そんなに圧力をかけなくてもいいんじゃないかしら。

 別に厄介な頑固じじい……おじいさんってわけじゃないんだし。

 ジョン先生みたいな人をおじいさんっていうのよね。やっぱりウィルおじいさんっておじさんよね。

 最初に見た時は私が結構幼かったからおじいさんって思っただけなんだわ。

「勿論いいよ」

 そう言って快くジョン先生は承諾してくれた。

 ……断って欲しかったわ。

 そんな私の願望は一瞬で消え去った。

 デューク様は私の手首を握って一段ずつ階段を上り始めた。

 一番奥の一番高い席が五大貴族が座る場所なのよね……。例外としてリズさんも座っているけど。

 ああ、行きたくないわ。

 けど、私は逃げないわよ。そもそも、逃げてもすぐに捕まるだろうし。 

 誰にも目を合わさないように歩いた。

 教室全員からの視線が私に向けられているのが分かる。

 今日は何かと注目される日ね。それも最悪な注目のされ方だわ。

 そして私はデューク様にされるがままに席に着いた。

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― 新着の感想 ―
アニメでは飛び級試験、2年間の登校不可確認試験を経て晴れて最上級クラス編入を勝ち得たのに、ジュークの一言と教師と独断とは説得力に欠けると思うのですが。
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