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歴史に残る悪女になるぞ  作者: 大木戸 いずみ


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 小屋から出てきた私にジルは目を見開いた。

 あら、見惚れてくれているのかしら。

 まぁ、いつもと随分雰囲気を変えたもの。

 真っ黒なレースのドレスに瞳の色と同じ黄金の色で刺繡が施されていて……物凄い悪女ってオーラを出しているものね。

 大ぶりのピアスが映えるように髪も一つにまとめて、一気に大人っぽく見えるし。

 ようやく胸元のダイヤモンドが私に馴染んでくれたような気がするわ。

「……綺麗だね」

 ジルは目を見開いたまま呟いた。

 多分意識して言った言葉じゃなかったんだろう。

 言った本人が自分の言葉に驚いていた。

「知っているわ」

 私は口の端を小さく上げてそう言った。

「……やっぱり、魔法が使えないのを隠し通すのは難しいと思うんだけど」

「分かっているわよ」

「なんでそんなに嬉しそうなの」

「悪女になるには困難が付きものなのよ」

「波乱万丈の人生ってわけだ」

「そういう事よ」

「やっぱりアリシアは凄いね」

 ジルは呆れたように笑った。

 私のやる事についてきてくれるみたいだ。

 流石私の助手……というより相棒ね。

 私はジルにバレないように誇らしく笑った。


 久しぶりに見る魔法学園は前よりさらに豪華な造りになっている気がした。

 ずっと小屋にいたから正直なんでも豪華に見えてしまうのよね。

 お屋敷も二年ぶりに見たら立派に見えたもの。

「アリシア、言っておくけど、ここから戦場だと思った方がいいよ」

「どうして?」

「多分……大変だと思う」

 ジルは言葉を濁す。

 どうしてそんなに言いにくそうにしているのかしら。

 いつものジルらしくないわね。

「はっきり言って」

 私はジルを軽く睨んだ。

 ジルは何か諦めたように小さくため息をついた。

「アリシアは悪口は気にしないタイプだし、強いし、大丈夫だと思うけど……騙されないでね」

「誰に?」

 私がそう言うとジルは深く長いため息をついた。

 そんなにおかしな事言ったかしら。

 悪口を言われてこその悪女だし、むしろ悪口はウェルカムよ。

 けど、騙されるってどういう事? 

「学園ではアリシアは不利な状況なんだよ。アリシアが学園に来なくなった時……喜んだ生徒が」

 中途半端な所でジルは言うのをやめた。私に気を遣ったのだろう。

 別に最後まで言ってくれても何とも思わないのに。

 というか、今、最高に嬉しい気分よ。

 私はもう二年前から立派な悪女じゃない!

 やっぱり自称悪女より皆が認めてくれる公認悪女の方がいいものね。

「つまり、僕が言いたいのは学園をやめる事にはならないでよね」 

「安心して」 

 私はそう言ってジルに笑いかけた。

 ジルの目はどうも私を信用してくれていない気がする。

 まぁ、とりあえず、学園の状況を知らないとね。

 百聞は一見に如かず。

 私達は二年ぶりに魔法学園の門をくぐった。

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