死なないために今日も頑張ります!
頑張って連載します。
「何か言い残すことは?」
なんてありきたりな言葉だろう。
いかにもな格好の神父風の男が語りかけてくる。
その目は軽蔑に満ちており、おおよそ死の間際の人間に向けるものではない。
こいつ聞き遂げる気ないだろと思い、つい口角を挙げてしまった。
その瞬間、神父男のこめかみに青筋が立つのをはっきりと見た。
「特に、無いようで」
男は短くそういうと限界だとばかりに顔を背けてしまった。
もう俺に話しかける人間は誰もいない。
その時が目の前に迫っていることをひしひしと感じる。
ああ、俺はここで死ぬのか。
こんな誰も知らない土地で。
あんなめちゃくちゃでかい斧で首を落とされるんだろうな。
自分の犯した罪も知らずに・・・。
観衆は沸き立ち、思いつく限りの暴言を浴びせてくる。
「人殺し!」
「悪魔の使途!」
「大罪人め!」
漫画とか、映画とかでよく見る光景だな。
おお、考えれば俺が最後に見る光景、なんか圧倒的だな。
てっきり俺は、そこそこの稼ぎでそこそこの嫁と結婚して、
そこそこの人生で看取られながら逝くもんだと思ってたよ。
そう考えるとこんな壮大な終わり方も悪い気もしなくなってきたかもな。
歴史の教科書に載ったりしてな。
「では処刑へと移る!」
またいかにもな格好の王族っぽい男が立ち上がり、号令を掛ける。
民衆はさらに沸き立つ。もう地鳴りがすごい。
「私も皆の気持ちと同じだ!今日この日この者を裁くことができうれしく思う!」
うれしく思うって・・・殺される身にもなってくれ。
王は笑顔で民衆に一瞥すると腰につけていた巻物を取り出した。
そしてそれを広げてみせた。
「では罪状を読み上げる!」
俺が一番気になってたポイントだ。
観客の声に負けないよう、しっかり頼みたい。
まあどうせ死ぬけどな。






