2-10/21 ゴブリンの集落と・・・
~続き~
《メッセージが届きました》
「おっ?メッセージが届いたようだな」
「どういう依頼ですか?」
「えーっと、
《メッセージ》
今回はあなたたちのパーティーに依頼をしたいと思う。
今日、城壁の東側にゴブリンの集落をこちらで見つけた。
相当規模が大きいようで、ゴブリンキングが出ることが予想される。
そして、依頼の内容はゴブリンの集落の撲滅だ。
報酬は私から金貨20枚出そう。
それでは、二日後にギルドの奥の倉庫で待っている。
と、言うことだ」
「それって、素材に関してはこちらの報酬に上乗せされるってことでいいよね」
「そうだな。あくまでも、ゴブリンの撲滅が依頼なんだ。ということは、素材の買取に関しては、ギルドとして行うということになるんだろう」
「それに、マスターは自分が見つけたということにしていますね。元はご主人様が見つけていたんですが、いいんですか?」
「そこも、マスターは俺の意をくみ取っているようだぞ。あの時俺は『独り言』で言ったんだ。だから、俺がマスターに情報を与えたのではなく、マスターが俺の独り言を聞いて見つけた。つまり、マスターがゴブリンの集落を見つけたということになる」
「?。それで、どういったことになるのですか?」
「なるほどね。ゼロは自分が見つけたんじゃなく、マスターが見つけたとしなければ、このことが公に出た時に私たちに変な注目がないようにするのね。どうやって撲滅を行ったのかってなっても、『マスターの力』ってことで終わらせるのね」
「そう、いくら国が動いたとしても、冒険者ギルドは独立機関なわけだ。だから、ゴブリンの集落を落とせるだけの戦力が気づかれずに動かせるってこと。その戦力を国は知りたがるだろうが、マスターが明かすわけがない。そして、国も深く聞きずぎると危ないから、『マスターの力』で納得するしかないってことで終わるんだよ」
「す、すごいですね。そこまで考えてたんですか・・・」
そう、これはギルドとしても、マスターにはこれだけの力があるということを国に見せつけることができる。
俺たちは俺たちで、金貨20枚は確定して、さらにゴブリン自体もホブゴブリンになっており、普通よりも買い取り価格が高くなっている。
そんな奴が100も200もいるんだ。
その価格はどれほどになるものか・・・。
楽しみだな。
***
~ゴブリンの集落の近く~
「今回はどういう作戦で行くんですか?」
「そうだな、とりあえずは一匹たりとも逃しはしない。そのために、最初に土壁で回りを囲むのは確定しているだろ?そのあとは特に考えていないな」
「なら、私とフリちゃんでやっちゃっていいかな?この杖の試し打ちもしてみたいし、対集団の魔物との経験がほしいからさ」
「あ、ご主人様。こういうところでは、女性の冒険者や商人がとらえられている可能性があるはずです。ここまで増殖するのも、おそらく・・・。ですから、その人たちを優先してもらえませんか?」
「ああ、もちろんだ。今もつらい思いをして、助けを求めているんだ。この依頼のもとには王都の人に被害が行かないようにするため。俺はそんなこと知ったこっちゃないが、それも依頼のうちなんだから、優先すべきだろう」
「ありがとうございます」
俺にとっては正直に言うと、誰も信じていないから別に誰が犠牲になっていても何も感じない。
ただ、それによって、日常が奪われるというのなら排除する。
それによって、何人が犠牲になって、何人が助かったとかは関係ない。
俺が生き残ることができ、日常を送ることができるようにするのがすべてだからな。
もちろん、その中には優先されるものと、後回しになるものが現れてくる。
どれだけ強くなろうとも、俺は俺で、人であることは変わりない。
神でもない限り、すべてを救うことはできない。
だから、その人のとって、人の命とは優先されたり、されなかったりする。
いま、優先するのは、リース、フリティアの2人だ。
ただし、助けられるという条件下であるならば、だ。
自分の命を危険にさらしてまで守りたいという存在は今はいない。
「それじゃあ、やるぞ」
「うん」
「はい」
ゴブリンの集落を覆う壁を、傷つくことのない強度を、乗り越えることのできない高さを一気に建てる。
【ソイル・ウォール】
一瞬で、ゴブリンの集落を覆う土の壁ができる。
そして、【空間把握】を壁の中に展開する。
「よし、これで、逃げることはなくなった。一気に撲滅を・・・」
「どうしたの?」
「どうしました?」
「どうやら、先着がいたようだが、危ないな・・・。魔力が尽きそうで周りも囲まれているな。どうする?そこに行くか?」
「そうなの!?早く助けよう!」
「私も、お願いします」
「はは、普通は自己責任なんだがな・・・。行くか。ついて来いよ」
【神刀:第一形態】を【神弓:第二形態】へ変更。
「!?どうしたの?それ・・・」
「これは神刀の二つ目の姿だ。刀の状態で許可が下りたからな。弓にもなるんだよ」
「へー、すごすぎるよ・・・」
まあ、刀での許可が下りるまでがレベル高すぎだろとは思ったな。
だって、死神様と打ち合えるレベルだって言われたんだよ。
まず、無理だろ。
その結果、近接も遠距離も最強の武器になったわけだが、俺が使いこなせないと意味がないからな。
ここは、頑張るしかないな。
「行くぞ!」
矢はもちろん魔力だ。
これも威力は魔力次第という、俺にとっては最高だが、ほかのものにとっては魔力を食う割には威力が出ないし、魔力枯渇になるという専用の武器だ。
まだ戦っている奴のところに向かって、一本の矢を撃つ。
それだけで、周りのゴブリンは死に、離れている奴は飛ばされていく。
そして、できた道を進んでいく・・・。
***
side???~ゴブリンの集落~
私はシャティ。
種族はエルフで、なぜこんなところにいるかというと、ゴブリンに殺された母と父の敵うちのため。
私達家族は、3人で冒険者としてこの町にやってきた。
なぜ、エルフの村にいないかというと、全部私のせい・・・。
エルフは普通、【翡翠の眼】という眼を持っていて、魔力を光の玉のように見ることができる。
しかし、私がもっていたのは【魔眼】。
その効果は、魔力を色で見れるというもの。
そこにどんな魔力があって、どんな流れになっていて、どういう属性なのかってことまで視ることができる。
この目は、エルフの中では【呪い】とされていて村に居てはいけない決まりとなっている。
つまり、殺されるか、どこかに逃げるか・・・、どちらかしかない.
そして、私たちはこの国に逃げてきた。
エルフは人間たちに狙われるから、そんなことにならないように力をつけないといけない。
その為に、冒険者になった。
私はまだ登録できる年じゃないし、危ないから父だけ登録していた。
そんな日常は一瞬で奪われた。
他でもない、ゴブリンたちによって・・・。
いつものように魔物を狩っていた時だった。
突然、父が私を守るように動いた。
何が起こったのかわからなかったけど、父が苦しんでいて、母が戦っているのを見て、奇襲されたんだと知った。
でも、気づいたときには・・・遅かった・・・。
ゴブリンのようなそれは、強く、1対1では母も負けないだろうが数が多かった。
倒されても倒されても次々と襲い掛かってきていた。
母は、『シャティ!逃げなさい!生きるのよ!』といって、最後の力を振り絞って、私が逃げる隙を作ってくれた。
もちろん、母と父を置いて逃げることは、希望を失うことと等しいことだった。
でも、母の最期のお願いを断ることはできず、必ず復讐すると決意して、そこから逃げたのだ・・・。
そして、今に至る。
最初は余裕で、これで復讐を果たせると、そう思っていた・・・。
でも、現状はこのありさまだった。
まだ、戦えてはいるが、もう、魔力もつきかけで、体力も尽きている。
それでも、戦い続けるのは、絶対に殺すという意思と気力だけ。
だんだんと傷が増えていって、死を感じた。
私は、ここで死ぬんだ・・・。
ゴブリンが手に持った斧を振り下ろすのが見える。
もう、逃げることも、動くこともできそうにない。
ごめんね・・・お母さん、お父さん。
私は、こんなにも未熟で、いっぱい迷惑をかけて、最後には身代わりになってまで守って持ったのに、こいつらを、倒せなかったよ・・・。
その時だった、振り下ろしてきたゴブリンが消えた。
いや、飛んで行った。
そして、周りのゴブリンたちも頭に魔法の矢を受けて死んでいた。
一瞬の出来事だった。
「まだ死ぬなよ。おまえに、こいつらを殺させてやるから。それまで手伝ってやるよ」
そんな声が聞こえた・・・。
ああ・・・私は、まだ、生きていいんだ・・・。
一度失った希望を取り戻した瞬間だった。
***
ギリギリ間にあったと思い、そこを見ると、赤目で耳はとがっており、エメラルド色の髪を腰までもばしている。
大人かと思っていたら、小さな子供だった。
ただ、その戦い方は怒りに身を任せており、何かしらの原因があるとわかった。
そんなにもこいつらが憎いのであれば、そうさせなければ、今後どうなるかわからない。
だから、こいつにやらせなければと思った。
近づいてみると、体のいたるところに傷があった。
「おいおい、よくこんなんで戦ったな。取り合えぜ治すか・・・。【ヒール】」
光が、少女の体を包み、急速に治していく。
「ん、すごい、ありがとう」
「そんなことより、お前はこいつらを殺したいか?」
「コクッ・・・もちろん。親の仇・・・でも、もう動けない・・・」
「そうか、ならそうしよう。まあ、魔力はいくらでもあるさ。いくらでも暴れられる」
「・・・?」
「ゼロ、どうするの?魔力も体力もないのに・・・」
「そんなの簡単だ。動けないのなら俺が運んでやるよ。それに、フリティアが俺の魔力使ってるだろ?それの魔法版だよ」
「・・・!」
そういって俺はこの少女を横抱きにする。
いわゆる、お姫様抱っこってやつだ。
何しろ、こっちじゃないと、魔法が放てないからな。
頬を赤くしているが気にしない。
「君の名前は?」
「・・・シャティ、エルフ」
「そうか、その姿には聞かないでおく。とりあえずこいつらを始末しよう」
体が緑のオーラに包まれていく。
そして、シャティまで包んでいく・・・。
「すごい・・・、魔力が、よみがえってくる・・・こんな魔力、初めて・・・」
「いけそうか?」
「ん、いくらでも・・・」
「リース、悪いが試し打ちはできなそうだな」
「いいよ、シャティちゃんにやらせるべきだから」
「よし、行くぞ」
「ん・・・」
そうなってからは、完全なる蹂躙だった。
何しろ、魔法にたけたエルフ族で、冒険者として生きてきただけの力はあるのだ。
それに、ゼロの魔力が合わさった。
ただの魔力ではなく、凝縮した濃い魔力だ。
少しの魔力でも、簡単に上級魔法が打てるし、精霊魔法も何回でも打てるという、普通ではありえないほどの魔力だ。
シャティを抱いたゼロが通っていくだけで、そこに生きているゴブリンはいなくなっていった。
ゴブリンキングでさえも、その魔法の前では無力だった・・・。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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