2-4/15 地形把握
説明回となっております。
ただし、この話の伏線が回収されるとは限りません。
この先の展開は考えてはいるのですが、何しろ変更が多いもので。
「次に、フリティア、この王都の地形とここより北の地形について教えてくれ」
「はい。ですが、なぜ?」
「第一に単に魔王討伐をしようと思っているんじゃないからだ。あくまでも討伐するのは勇者だから、俺は邪魔になったら討伐するってことだ」
「邪魔って、そんな理由で・・・。いや、でもそれもそうだね。平凡な日常の邪魔になるものはなくさないといけないね!」
「そして、魔王がいつまでも魔大陸で待ってくれるとは限らないだろ?よくあるのは平和を望んでいるから攻めてこないなんてあるがそんなことがあるわけないじゃないか。自分たちがわざわざ討伐されるかもしれない勇者が育つのを待つなんておかしいだろ?」
「確かに、そりゃあ自分たちも生きたいし、自分から死にに行くのはおかしいね」
「私は、魔族が戦闘好きが多いと聞いたことがあります。なんでも、魔族の間では力による支配が絶対で、自分よりも強いと認めた魔族に従うそうです」
「そう、だから攻められたときに地形を知っておかないといろいろと不利になるんだよ。特に俺たちはまだこの世界に来てから日が浅いし、この世界についてもほとんど知らない状態だ。そんなときに攻められでもしたらいくら個人が強くても意味ないんだよ」
「うん、うん、そうだね。いつ攻められるかわからないから攻められる前に準備をしておくんだね。それに、後手後手に回って関係ない人が巻き込まれるのは嫌だな・・・」
「わかりました。そこまで考えていらっしゃるとは・・・。流石ご主人様です」
フリティアが知っている情報をまとめるとこうだ。
まず、この王都だが北側と南側にそれぞれ門があるという。
東側と西側にも門があるが今は使われていないという。
なぜ使われなくなったかというと東側と西側の離れた場所に森があり、そこから魔物が現れるようになったそうだ。
そのせいでその周囲にあった村々が襲われ、完全に魔物に奪われた。
何度か討伐隊を送ったがなぜかランクD,Cの魔物しかおらず、奪還が不可能と判断された。
その原因はわかっていない。
魔物にはランクというものがあり、そのランクで強さを表したり、討伐の目安となっている。
そして、このランクはA,B,C,D,Eの五段階に分かれている。
Sもあるのだが、それは魔王ぐらいなので普通は使われない。
Eがゴブリン程度で初心者でも倒せる強さ。
Dがオーク程度で中級冒険者1人で行ける強さ。
Cがウルフ系統の集団で動く魔物やオーガ程度で中級者パーティーか上級冒険者1人で倒せる強さ。
Bがサイクロプス程度で上級冒険者のパーティーで倒せる強さ。
Aがこの世界でごく少数のトップの冒険者が2人以上で倒せる強さ。
今のトップでいうと7人と各支部のギルドマスターぐらいだという。
そんな中で勇者が魔王を倒そうとしているのだ。
なぜか勇者だよりの希望が一気に無くなった気がする。
だいたい、いくらステータスに補正がかかって、その中でも強いパーティーを組んだとしてもおそらく勝てないだろう。
なぜなら、この世界で生きているトップというのは才能、努力、戦闘経験、判断がずば抜けている人間だ。
時には仲間を捨てるという判断を下せるものでなければトップには立つことができない。
そんな人たちと戦った時、絶対と断言できるほど負けるだろう。
それだけ、ステータスに反映されない部分は実戦で反映されるからだ。
話を戻そう。
そのようなことがあり、今は北側と南側の門しか使われていない。
このことはおよそ20年前のことだそうだ。
王都のつくりは中心に王城がある。
まあ、これは当然だろう。
その周りに貴族街と呼ばれる貴族の家が集まった地域がある。
ここの終わりに内側の壁がある。
何かあったときのための保険だろう。
その周りには東と西側に住宅街、北と南に宿、武器防具屋、ギルド、商店などがある。
これは意図されてなったものではなく、自然とこうなったそうだ。
これは東と西側から誰も入ってこないし、逆に北側と南側に冒険者などが集まるようになる。
そうしたことから、東と西側は定住しやすく、北と南側は店が集まるというわけだ。
そして、王都より北側には産業が盛んな領地があるらしく、とても重要な領地なのだとか。
そこでしか生産できない野菜や果物もあるらしい。
いつかは行ってみたいと思う。
地球ではなかった食材で料理を作るのも面白そうだ。
なぜ、この土地かというと、これは魔素が関係しているといわれている。
魔素とは、魔物が生まれるためのもとになるものだと考えられている。
魔素の量によって、生まれてくる魔物が変わってきたり、強さも変わってくるという。
その魔素が濃いのはその領地の北側に魔の森という森があるかららしい。
そこは一番弱くてCランクで、奥にはAランクまでいるという。
そんなとても危険な森から魔素が漏れてくるので、その領地も世界的には魔素が濃い地域となっている。
そして、魔の森の奥には山脈が連なっているらしい。
山脈の麓にAランクがいるということはその山にはそれ以上の何かがいるということになる。
一部では最強種族と言われているドラゴンがいるといわれている。
しかし、ドラゴンは龍人族とともに遠い孤島に住んでいるため、この大陸にいるとは考えにくい。
ワイバーンなどの確認はされているらしいが・・・。
ここで、ふと疑問に思った。
なぜ、俺は魔王を倒そうとしているのかと。
確かに平凡な日常を送りたいという気持ちがあることに間違いはない。
それに、地球ではもう俺の居場所はないわけだから戻りたいと思わないのも事実だ。
だが、どうだろうか?
なぜか俺にはその理由が逆になっている気がする。
前までは絶対に目立つようなことをしていないし、したくもなかった。
だから、俺がこんなにも魔王を倒そうとしているのは自分だからわかるがおかしいのだ。
でも、そう思えば思うほど魔王を倒すのが俺がという考えに陥る。
それも、自然と。
いや、余りにも自然すぎる気がする。
それに、理由が逆というのは、平凡な日常を送りたいから魔王を倒す、この世界で生きるために魔王を倒す。
というのではなく、魔王を倒すから平凡な日常が送れて、魔王を倒すからこの世界で生きることができる、という風に目的と理由が逆になっている。
だが、これ以上考えることができない。
何か、考えてはいけないような、考えられない何かがある。
「ゼロ、今日から訓練始めない?1日でも早くしたほうがいいでしょ」
「はい、私も1日でも早く強くなりたいと思っております。ご主人様、お願いします」
「うん、そうだな。まあ、今からやることは特殊だからそんなに焦らなくてもいいよ」
そういって俺は【次元の門】を開く。
「いつみても変な感じがするな・・・」
「な、なんですかこれは?」
「これは【次元の門】と言って、登録した場所にはいつでも行けるって魔法だよ。で、今から行くのは時間の進みが遅く、自然魔力回復が付いている空間だよ」
「そんなことができるんですか!すごいです・・・」
「さ、早く行こうか」
「うん」
「はい」
実はこれから行く空間は死神様のあの空間を真似して作ったものだ。
まあ、全然完成度が違うけどね。
で、その空間では死に戻りができるというか、『死』という概念を無くした空間なんだよね。
だから、本気で戦って、死神様に殺される。
そうすると戦う前の時間に戻っているんだ。
でも、記憶の中に死んだということが残るわけだから正直言うととてもつらい。
それでも、なぜ死んでしまったのかとか、どうすればよかったとかを考えれるし、何度でも繰り返せるから訓練には効率がいいんだよね。
死神様もこの訓練をするのはまずいないのだとか。
精神がもたなくなってしまうから持つ可能性のある者で、その意思がある者でないとできないらしい。
で、それをしたのがファミリアーと俺ぐらいだという。
なかなかとんでもないことをなっているようだ。
そんなわけで、こんな短期間で成長できたわけだ。
俺の場合は死というよりも強さを求めた。
タケルさんに追いつくために、ファミリアーと【精霊化】するために、理不尽な世界で生き抜くために俺は強さを求め続けなければならない。
その為の機会があるのならば使うまでだ。
***
~異次元の空間~
ここはあの空間と同じように真っ白で何もない空間だ。
ちなみに、あの空間でも、この空間でも魔力を使えばこの世界の地形を真似することができる。
死神様の空間では森になっていたからああいうスキルが付いたわけだが・・・。
しかし、それをやるためには俺だけの魔力ではできないことはないが、それから動けなくなるくらいだし、継続し続ける限り魔力を有する。
だから、俺というより、神以外にはできない。
まあ、ファミリアーと一緒にやるならできるのだけれど今はいないからしょうがない。
「さて、ここの空間では時間の進み方があちらの世界の5分の1となっているから5時間やっても1時間しかってないから安心してね」
「また、とんでもないものを作ったんだね」
「それって、魔法なんですか?もう、私の理解を超えているのですが・・・」
「まあまあ、この空間をつくのに苦労したんだよ。いやー、なかなか使う魔力が多くてね、ほんとにギリギリのところだったよ」
「それでも作るって何なの?もしできなかったら倒れるわけでしょ?きけんすぎるんじゃ・・・」
「まあ、できるって計算はしてたからね。それじゃあ、始めようか。リースは自分の魔力を使ってね。フリティアはその腕輪から俺の魔力を使ってもらえばいいよ。主に身体強化見なるだろうけど」
「うん、もうそれでいこう」
「わかりました!私が魔法を使えるとは!すごいです!」
だが、彼女らは魔力切れの怖さを知らなかった。
いくらゼロが回復魔法を使ったとしてもゼロの耐久値と普通の人の耐久値は違うのだった。
そして、その苦しみに耐えながら訓練を続けた。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
最近は更新するとブックマークが増えて、驚きです。(∩´∀`)∩
今後ともよろしくお願いいたします。
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