5. 初来館者
突然のレベルアップ。
しかしまだ掘削作業はそう進んでいない。
ちらりとモグラを見ても、レベルアップ出来る程は掘り進んでなさそうだ。
はて、なんでレベルアップしたんだ?
もう一度コア本を確認すると
『LPを6Pゲット』
という文字が新たに書かれていった。ポイントはなんでもらえたのか。謎だ。
ポイントがもらえる条件って何だろうか。さっきは施設の拡張で、後は多分本などが増えていくことでももらえそうだ。図書館だし。
「あ」
そう、ここは図書館なのだ。書庫ではない。
書庫のように本の保管・保存を主にしているのでは無いのだ。
図書館は利用者に資料を提供したりする施設なのだ。
いい図書館こそ利用者のサービスなどに力を入れたりしているものだ。
図書館と利用者は切っても切れぬ関係なのだ。
その事から予想出来るレベルアップ&ポイントゲットの理由は「利用者が来た」………
つまりは来館者。
第1異世界人がやって来たのだ。
待って待ってまだ一部屋しか出来てない!
とにかく地図を確認してみると、この図書館(迷宮)内にはいないが………
「あれ?」
白紙のページに光る点がある。というか点が動いている。これが数学などでよく出る動く点Pか。
ではなくこれが来館者だ!
拡大!
~拡大中~
岩山を一人の青年が走っている。全体的に黒っぽい服装をしていて、短めの茶髪。
彼は道なき道を走り、崖を軽やかにかけ上る。
モンスター (多分)が襲いかかってきても
「ハッ!」
拳を繰り出すと、たぶんモンスターであったモノは倒された。
~~
この白紙のページは敷地内の庭みたいな部分の地図だったのか。私が知らないから地図として記入されずに白紙のままだったんだね。それでも監視カメラ機能は使えてよかった~。視認したら地図も書き込まれたし~。
と、現実逃避は置いといて。
あれ、これ私の死亡フラグやってきた。どうみても強者だよヤダー。
よし! こんな時はレベルアップで増えた新機能の確認だ! それしか死亡フラグ回避方法がない。
『Libraryの新機能
図書館司書の装備が解放されました。』
そう書かれたページには
黒いエプロン
手に着けるカバーみたいの
機能:自動洗浄・自動修復
注:ページに触れることで自動的に着脱可能。
あ、これは図書館司書の装備ってか制服だわー。今の私の格好はカーディガンにワイシャツ、黒いズボンだから余計に図書館司書らしさ出てるわ。
だけど、今いらないその装備! 便利だけど今いらない!
一応着てみたけど防御力とかないよこの装備!
他の機能はどうだろう。
新機能
「備品購入」が解放されました
よし、良さそうな機能がきたじゃないか。白紙のページが光り、ずらっと商品名が箇条書きされた。防犯設備! 防犯設備はないのか。
つっかい棒 :扉が開かないようにするための支えの棒。100P
高すぎるだろ棒! しかも防犯に使えそうなのこれしかない!
仕方ないからつっかい棒購入。
購入した瞬間、開いていたコア本のページから光の渦が出来、そこからつっかい棒が生み出された。
召喚みたいで中々カッコいいが、出てきたのがTHE 木の棒なビジュアルのせいでガチャのハズレ感が半端ない。
とにかく扉に設置! 横開きの扉が開かないよう棒をしっかりと入れた。
うわぁ、これで対応するって不安しかない。
とにかく部屋を移動して、地図を確認してみた。
「え、もう扉の近くまで来てるの!?」
慌てて地図を拡大する。速すぎるぞ第1異世界人。ただいま絶壁の岩壁を僅かなへこみやでっぱりを捉えながら、ひょいひょい登っている。
これ異世界常識的な身体能力なんだろうか………? 全員この身体能力だったら私の命でもあるダンジョンコアすぐ壊されるぞ。
そんな彼はあっさり扉の前まで到着した。服は黒いチャイナ服の袖無しに手甲? みたいなのだ。
彼は少しストレッチをし……扉を見つけた。というより扉しか見るものがない。
「あれ、何この扉?」
あ、言葉がわかる。よかった自動翻訳された。
「すみませんー! 誰か居ますー? 開けますー」
扉をガタガタしてるが、開かない。つっかい棒さん良い仕事してるわー。というよりなんですぐ開けようとするんだ。もう少し待て、開けないけど。
青年は扉が開かないのを見て、悩んでいるようだった。
よし、帰ってくれ。
「ハァァァァ……」
ズゴゴゴゴと青年の周囲にオーラのようなものが現れる。え、いいよそんな必殺技みたいの出さなくて!
そんな私の思いはいざ知らず、彼は高めまくったオーラを全身に収束させると、動いた。
拳が扉に向かって着弾した、と思った瞬間には回し蹴りが扉にぶちかまされました!
しかし扉は微動だにしていない! 無傷! つっかい棒さん良い働きしてる!
無傷の扉を見て青年は言った。
「壊れないって事は………これまさか、迷宮?」
あ、バレた。
A.図書館司書の装備っていうと↑ですよね。
主人公はハローワークに行っていたので微妙に真面目な格好でした。