1. 図書館運営のために
悩んでいても仕方ない、と私は光っている本を開いた。
『貴女はここの図書館司書、つまりはダンジョンマスターに選ばれました!
この図書館をどんどん成長させて生きましょう!』
おぉっと、見出しからとんでもない言葉が書いてある。最後は誤字かな? 誤字だよね?
『ステータスと呼ばれるモノはこの本で閲覧可能です。
貴女のステータスは
図書館司書 レベル1
HP 一撃で死亡
MP 程々
特殊能力
Library
です!』
ふざけんな、なんだこの曖昧なステータス。現代っこだからか、文系だからか。
『因みにこの本がこの図書館の核、つまりはダンジョンコアです。壊されると貴女も死亡しますのでお気をつけ下さい』
どんなブラック企業だ。どうして生死握られてるんだ。福祉厚生はどこにいった。
後のページは白紙だ。結構な厚みの本なのに内容は最初の数ページのみとは………
レベルアップごとに内容が増えるパターンだな。
図書館司書をとる程度の本好きな私はそう判断を下した。 (ゲームとかも好きだけどね!)
しかし帰還方法とかは何処にあるのだろうか。先ほどの感じでは、私が歩いていた小道どころか扉や魔方陣のようなものすら無かったのだけれども。
本をパラパラとめくる。めくる。
………本は白紙である。
現時点で、私は家に帰れないようだ。
社畜になれってか。
そんな、元の世界に戻れなかったら私は―――
このままの人生でおきること (予想)
1、就職先は見つかったのという親の冷たい目
2、果てなき就職面接を繰り返す日々
3、年をとるごとに結婚はまだなの? と聞く親の冷たい目
……あれ、そんなに戻りたくないぞ。
うん、出来るだけここで頑張ってみるかな!
ただ単に帰れる方法がわからないんだけなのだけれど。
暗くなりそうな気分を振り払い、本棚を確認してみる。
えーと本のタイトルは。
「火魔法(基本)」
「水魔法(基本)」
「土魔法(基本)」
「風魔法(基本)」
「光魔法(基本)」
「闇魔法(基本)」
の心引かれる魔法の本6冊。
「この世界について~基礎編」
「迷宮初心者にオススメ! 簡単迷宮探索」
「国語辞書 ~何でもわかる異世界~」
後の3冊と今私の持っている本、つまりはダンジョンコアで10冊。
この本の数で図書館って言うのはおかしいだろうよ………
製作者に一言申したい気分になったが、とにもかくにも「この世界について~基礎編」を読んでみた。
ここで図書館司書するなら迷宮関係の知識は生死に関わる重要な情報だ。
重要な情報なのに本と呼ぶにも不安なペラペラさなんだけど………もっとしっかり書いたの置いといてほしい。結局20枚くらいだったその本の内容は
ダンジョンコアを壊したものには莫大な褒賞が手に入る。どんどんダンジョンコア壊そうぜ! (意訳)
私の命はダンジョンコアと一蓮托生なんだよ! 壊されたら死ぬの!
急いでダンジョン拡張して罠とか階層とか作らないと死亡確定するじゃないか。
………あれ、ダンジョン拡張についての説明とかあったっけ?
それにモンスター召喚とかの機能は?
私は慌ててダンジョンコアの本をめくる。
ない。
ない。
そんな機能はない。
え、私の死亡確定した?
なんでダンジョンなのに拡張機能もモンスター召喚機能も無いのさ!
A.図書館だからね!