図書館の司書
はじまりはじまり
『急募 図書館の司書』
新しい図書館の司書を募集しています。
どんどん成長していく図書館で働いてみませんか?
応募資格
図書館司書資格
年齢 新しい職場ですので、長く働ける若い方を望んでいます。
給与 詳しい事は現地にて説明いたします。
地元のハローワークに置かれていたフリーペーパーに書かれていたその仕事の募集。
短大卒で図書館司書資格を取ったものの、就職にあんまり使えないなーと悩んでいた私には渡りに船の上手い話。
しかしあやしいぞこれ。ここで新しい図書館なんて聞いた事ないぞ。しかも給与が現地説明って危ない感じがする。
記載されていた住所はここの近くだ。ちょっとした探険気分でその住所に向かってみる。
そう、思い立ったらすぐ行動派な私は突き進んでいった。ポジティプによく考えてないとも言う。
私はフリーペーパーに書かれていた地図を見ながら目的地に進んでいった。
地元とはいえ土地勘のない場所を進んでいく。よく迷子になると言われるがそんな事はない。いつかは知っている場所に着くのだ、だいたい。
そして地図に書かれていた小道を抜けた先は、2つの月が輝く山の頂上でした。
あれ、ここ異世界じゃね?
あまりに現実離れした光景に呆然とした。
だがすぐに
「さ、寒い」
見た感じではここは山の頂上。吐いた息は真っ白………つまりは突然凍死の危機である。
地元のハローワークからの道筋にこんな死の危険が潜んでいたとは!
慌てて周囲を見渡すが、先ほどまで歩いていた小道はない。というか道すらなく、周囲は断崖絶壁だ。
「ん?」
絶壁のような岩の壁にくっつくように謎の扉があった。
近づいてみると、何か精巧な彫り物のされている白い石の扉だった。
しかも横開き。なぜ石製 (多分)の扉がふすまのような横開き。
まあ寒いし入るしかないのだけれども。
ふんっと力を込めて扉を横に動かす。
見た目の重厚さを裏切る、からからと軽やかな音をたてて扉が開いた。 石製に見えるのに軽いぞこの扉。力を込め過ぎて扉が軽く跳ねかえってしまった。
扉に意識がそれてしまったが、本命はこの中だ。そっと中を確認してみる。
扉の中は小部屋だった。
中の空気は暖かく、蛍光灯のような明かりが室内を満たしている。レンガのような白磁の壁と床、中には木製の丸イスと1つの本棚。
おいまさかここが図書館って言わないよな………
恐る恐る本棚に近づいていくと、中には本が10冊。
その中の図書館の司書と書いてダンジョンマスターって書いてある謎の本が目の前で光ってるけどこれは何かな? ブラック企業かな?
A.そう、ブラック企業です。
(実際の図書館は違います)