はじめまして
さらっと読めるものを目指しました。
携帯からの投稿なので読みにくいかもしれません・・・
すみません( ;∞;)
「こんにちは!私の名前は・・・」
誰もいなくなった教室で、窓に映る私に話しかけて、頭を抱える。
放課後の教室でひとり、もう何度話しかけただろうか。
心なしか窓に映る私も呆れた顔をしている。
「っ・・・ はぁぁぁ~」
大きなため息を出して頭に思い浮かべるのは彼の姿。
同じクラスの彼はさらさらの栗毛色の髪に人に好かれるような笑顔。
スポーツも成績も優秀で向かうところ敵無し。
そんな彼はいつもクラスの中心のメンバーで、誰にでも優しく差別なんかしない。
女子からの人気はもちろん、男子からの信頼も厚い。
そんな彼に入学してすぐ憧れて、話しかけてみたいと思ったのは。
「もう半年も前じゃん・・・ なにしてんの」
ポツリと呟き、両手で顔を覆う。
いくじなし! と叱咤する私と、しょうがないじゃん! と言うチキンな私とで毎日放課後に反省会をしている。
そもそも、と窓に映る自分を見つめる。
セミロングの黒髪を邪魔にならないように右耳後ろあたりで一纏めにし、服装だって垢抜けない。顔は言うまでもなく平凡。
とくにこれといって優れている所もなく、突出したところなど感じたこともない。地味で引っ込み思案。悪いところならいくらでも挙げられる。
幸いなことに入学当時から良くしてくれる同じクラスのマコトが友達なことが唯一誇れる所だ。
こんな人間に話しかけられても・・・。
思考がネガティブに入りかけたところでイカンイカンと両頬をペチペチと軽く叩く。
今日マコトにも注意されたところだ。
彼女曰く、ネガティブに考えるよりもポジティブに考えた方がお得! だそうだ。
明るい彼女と一緒にいると楽しく感じるのは、きっと彼女がポジティブに生きているからなのだろう。
そんな彼女には助けられっぱなしなのだ。
そういうと、彼女は「ナニイッテンノ!」と照れながら一発頭にチョップを入れてくるだろう。
そんな彼女の日課は私に「今日は話しかけれた?」と聞くことだ。
毎日代わり映えのない返事をする私に、そろそろ焦れているだろうに急かすこともせず優しく見守ってくれているのだ。
そんな彼女に甘えている実感はある。
いつまでも胡座をかいていてはいけないと、自分を奮い立たせて話しかけようと試みるも、やっぱり勇気が出なくて見送る日々になっている。
暗くなってきたグラウンドを見下ろし、そろそろ帰ろうかと重い腰を上げて鞄を持ち、教室を後にする。
靴箱のあたりで、女の子たちがキャアキャアと楽しそうに話しているのを横目に自分の靴の場所へと歩みを進める。
と、そのとき彼の名前を耳にした気がして、彼女達には悪いと思いながらも話に耳を傾ける。
「私、明日告白する!」
「えっ?マジ!?」
「今回はマジ!する、絶対する」
「そう言っていつも出来ずにいたじゃん」
「でももう我慢できないって思ったんだって。隣のクラスの子も狙ってるらしいじゃん? 誰かのものになっちゃう前に意識くらいしてほしいもん!」
「あ~・・・ あの男子にめっちゃモテてる子でしょ? マジ情報?」
くすくすと話し声が遠ざかる。
血の気が引く、とはこのことなのだろうか。
指先からざあっと冷たくなっていく感覚に絶句する。
彼がモテていることは当然知っていた。
だけど、いざ告白すると言う人を知ってしまったら嫌でも現実を突きつけられてしまう。
彼が特定の人物と付き合うことになれば、もう話しかけることはできなくなるかもしれない。
それは嫌だ!
チリッとした痛みを感じて視線を手に向けると、握りしめ過ぎたのか爪の痕が手のひらに刻まれていた。
これほどの激情を感じたことは今までなかった。
刻まれた痕を左指でなぞり、
「痛い・・・」
そう呟いた私はどうやって家に帰ってきたのか覚えていなかった。
次の日、学校へ向かう途中、モヤモヤ考え事をしていた私は後ろからの衝撃で突っ伏しかけた。
何事!? と後ろを見ると、ニヒヒと笑っているマコトがいた。
「おっはよー! 今日は話しかけれた?」
「・・・おはよう。まだ会ってすらないよ。」
苦笑をしながら彼女の隣にならび、歩みを進める。
「何かあったの~? メチャぼーっとしてたよ?」
「うん、ちょっと・・・」
昨日の靴箱で聞いた話を思い出し、マコトに相談してみようかな、と口を開いた。
「あちゃ~・・・ まぁ奴はモテるからなぁ。」
「モテているのは私も知ってたんだけど、実際に聞いてしまうと、ね・・・」
「・・・焦る?」
そう言って含み笑いをしながら覗きこんできたマコトの目を見てハッとする。
そうか、
「焦ってたんだ、私・・・」
話しかけれずにいる私に、告白して意識して貰うのと宣言した彼女が眩しく、羨ましかったのだ。
「焦っても仕方ないしなーと思って言ってこなかったけど、入学してから結構告白されてるよ、奴は。」
「そう、だよね」
「まだ彼女はいないらしいけどね。」
彼女がもういるかも・・・ という思考に入る前にストップがかかる。
まだ半年の付き合いとは思えない彼女の神対応に思わず笑ってしまう。
「そうそう~、その笑顔だよ。せっかく可愛い笑顔なんだから、それを使わないとね」
「え?」
「めっちゃ可愛いよ、笑顔」
「うそ」
まじまじと笑顔なんて見たことない・・・ 鏡はそもそも苦手だし、いつも窓に映る私はしかめっ面か呆れた顔をしていたから。
「嘘じゃない嘘じゃない、可愛い・・・ よっ!」
二度目の後ろからの攻撃に、思わず前のめりになり、マコトに怒ろうと思ったところで、前にいた人物を見て固まった。
右斜め前にはいつの間にそこまで行ったのだろうか、少し小さくなったマコトが右拳を上に掲げ、あからさまな応援ポーズをしていた。
「・・・っ」
目の前には憧れていた彼が、こちらを心配そうに見ている。
「大丈夫?」
いつもより近くで聞く彼の声は思った以上に響き、私の中の暖かいところをくすぐられたような気分になり、モジモジとしてしまう。
いつも練習していたじゃないか、話しかける言葉も決めていたじゃないか、と自分を奮い立たせるも、そんなものぶっ飛んでしまって出てこない。
緊張で手が震える。
何か話せ、何でもいい、彼は待ってくれてるじゃないか、何か・・・
「あ、あのっ・・・ はっ・・・」
「うん?」
はじめまして。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
「小説家になろう」様に投稿するドキドキで手が震えてます。