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修行する猫


 後日、ギルドのある村の入り口にて首輪役の猫と待ち合わせをした。そういえば自己紹介してないし名前を聞いてないな。一応僕のために働いてくれると言っているんだ、少し警戒心を解こう。



「お待たせしましたシロさん!申し訳ありません」


「いえ、ところで僕はシロと申します。」


「?存じてますよ?」


 笑顔で首をかしげる黒猫。コミュニケーション能力向上も今後の重要目標だと痛感した。


「あなたのお名前は?」


「!?・・し、失礼しました。私ったら名も名乗らず・・・私はクロナと申します。ヤマトの国で修行をしていました。こちらには学校に通うために帰国しました!」


「そうですか。よろしく」


「よ、よろしくお願いしますニャ!」


 あ、猫語だ。無意識なのだろう、焦って頭を下げる姿からは愛嬌を感じる。


「敬語はよそう、同級生になるのだろ?目立つ。」


「は、はい!」



 この子は首輪に間違いないのだろうけど、この子だけではないな。恐らくクロナはサポート要員だ。監視役は別に存在するのだろ。今のところ王との約束を破る気がないし、気にするのを止そう。



「じゃあついて来て」


「はい!」


 そう言って町の外へと出る。「走るよ」とだけ言い、人目を気にせずスキルの訓練ができるであろう草原まで走る。本気で走っても付いてこれると予想できたが、ついて来いと言って本気で走るほど嫌な奴になる気はない。そういった訳で5割程度で走る事にした。

 このペースでは20分くらいかかるかな。クロナも付いてこれているみたいだ。流石忍者といったところか。



「ここら辺でいいか」


「はい・・・それにしてもかなり速いんですね!驚きました!」


 若干クロナの呼吸が乱れているみたいだな。まぁ上々だろう。


「魔法の鍛錬がしたい、新しい技の練習を手伝ってくれ」


「構いませんけど・・・私で大丈夫でしょうか?」


「簡単な防御魔法の練習です、魔法を撃っていただければ問題ないです。・・・あと敬語やめましょう」


「分かりm・・た」


 分かりた?分かりたと言ったよな。御意!のような使い方をするのだろうか。しかし、最初の忍者キャラは早々に諦めたのだろうか。だったら猫語を使ってほしいが、いつか聞けるだろ。



「じゃあ、頼む!」


「御意!」


 御意も使うのか。そんな事を考えていると、クロナは、忍者のように指を2本立てた。


「~~~火炎弾!」


 ブツブツと詠唱しながら、手のひらをこちらに向ける。すると火の弾が発生する。術の名前を叫ぶと、火の玉は高速で僕の方に飛んでくる。


 僕も手のひらを火炎弾の方に向け、龍との戦いを思い出し、結界をイメージする。すると火炎弾は爆発せずに手の平の前で停止する。すると龍のブレス同様、火の玉に僕の魔力が流れていく。火の玉を止めている手のひらを右側に向けると、火の玉も右についてくる。

 魔法を奪い取ったような感じだ。そのまま火の玉を飛ばそうとイメージすると、飛んで行ってくれた。


 その後しばらくスキルの練習をし、クロナが疲れて来たようなので解散した。お礼に飯を奢ったら凄く喜んでくれた。







 それから一か月クロナには、スキルを磨くための訓練に付き合ってもらった。近接戦闘や魔法についても鍛えてもらった。











~~~1か月語~~~~~


 入学までの一か月で得たモノを整理しよう。まず最も成果の無かったものから、ソレは近接戦闘だった。剣術や体術は参考になったし楽しかった。クロナは近接戦闘では自身があるらしかったが、僕は自力でクロナの技を凌駕できた。結果は僕の初期ステータスが高い事が分かっただけだった。攻撃力が低く慢心はできないレベルだがな。



 次は魔法、獣人という種族は魔法が向いてないらしい。レイナはそれをヤマト式の魔法で補っていた。僕も例外ではなかった。しかし、それは攻撃には向いてないだけであって、温水を出したり、傷を癒す魔法など、補助的な魔法を覚えられたのは嬉しかった。これは戦闘とは別分野でだが大きな成果だと捉えれいいだろう。



 最後に、最大の成果があったスキルだ。僕のスキルは、魔法に対して完璧な防御力があるのが分かった。結界に触れた魔法は、時間が止まる。それに僕の魔力を上乗せするように流す事で弾き返す事ができる。倍返しだ。魔法の時間が止まるというのは、結界によって魔法を止める。その後結界を解除すると、止まる前の速度、威力を保ったまま魔法が動いたので、そう表現した。

 これは良い事が発見だった。これにより、止めた魔法を、消したり、逸らしたり、そのまま跳ね返す事ができるようになった。スキルの幅が広がったのは素晴らしい成果だ。


 しかし、問題が一つ。ソレは龍を殺した時のスキルについてだ。アレは自分に向けられた悪意や害意のある物の時間を止める結界を作り出し、止めた物に自分の魔力を混ぜ威力を向上させ、跳ね返す。この力は強力すぎる。

 危険性を分かりやすく表現するなら、デコピンを跳ね返すとしよう、僕が何も考えず反撃すると腕ごと吹き飛ばしてしまう。凶悪な上乗せ反撃ができてしまうのだ。これは、基本的に使わないでおこう。



 このように現在の僕は、一か月前と大きく変わった。クロナもまた、同じだった。訓練に付き合ってくれたお礼にと、ご飯をご馳走したり、物をプレゼントしているうちに、やたらと僕に向ける忠誠心が向上してしまった。仲良くなれたと最初は喜んでいたのだが、ある日僕に絡んできたチンピラを半殺しにしたのを見て異変に気付いた。

 まぁ、許容範囲だろ。いや許容範囲に違いない。半ば自己暗示だ。猫はエサをあげると懐くと言われるが、馬鹿みたいで嫌だったのだが・・・そう言われる原因を見た気がした。



 現在は王都まで馬車で向かっている。入学試験を受けるためだ。この試験結果は入学の可否意外にも、クラスを分けるのに使われるらしい。1学年10クラスあるらしい。クラスの数字が1に近い程好成績の人が集まるのだとか。



「ねぇシロ、頑張って同じクラスになりましょうね!」


「うん、一番上のクラスだろ」


「シロなら余裕です!」


「ならクロナも余裕だな」


「・・・頑張ります!!」


 満面の笑みで返事をするクロナ。しかし、なぜ嬉しそうなんだ?クロナの実力は確かだ。僕が好成績ならクロナも同様なのは当然だろうに。



 そんな事より、僕がもっとも気になっている事がある。それは、馬の脚が遅い。これから始まる学生生活に対する不安より、そちらの方が気になってしまっていた。



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