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いきなりエンドを迎えそうな人と突然飛び込んできた少女

ここで書かせていただいている「俺とみんなと時々魔物と」の前に考えていた話です。

あっちのとは違いコメディ色を強くしています。

笑いながら読んでもらえると嬉しいです。

薄暗い部屋に3人の男の影。皆着ている服は白く裾の長い…いかにも科学者や医師が着ている様な服を身にまとっている。

「どうしてそこまで拒む‼︎」

20代後半の男が同じくらいの年の男ーー志島照史に対して言いよる。

「やめなさい…!それじゃあ話せるものも話せないじゃろ」

部屋にいたもう1人の髪の薄い初老の男が照史に言い寄っている男をなだめた。

「しかし先生!このままいけばこいつは人間族の敵になるんですよ⁉︎」

なおも食い下がる男に先生と呼ばれた初老の男は少し低い声で一言「兎に角お前は頭を冷やせ」と。

すると男は急に怯えたかのような表情を見せ静かになった。

「さて、アキよ、お前の考えを聞かせてくれぬか?」

先程とは打って変わって普段通りの優しい声に戻った先生。

しかし言葉の矛先にある照史は一向に俯いたままだ。

「ふむ、言いたくないのか。とは言えワシとてお前の師だ、お前が何を考えているかくらい見当はつく」

少ない髪を右手でさするようにしながら先生は照史に告げた。

「しかしなアキよ、此奴も言っていたようにこれは人間族、だけでなくケモン族にとっても非常に大事な事なんじゃ。」

目を瞑りながら淡々と話す先生。

「だから…わかってくれるな。アキよ」

ーーーー ーーーー ーーーー ーーーー ーー

「っは!」

散らかった部屋の中にあるベットから悲鳴のような声が上がる

「またあの夢か…」

体を起こしながら小さな声で呟いていた。

(いい加減にして欲しいよ…。3日も同じ夢とか、頭が変になりそうだ…!)

ガリガリと無意識の内に頭皮が剥がれんばかりの勢いで頭を掻き毟っていた。

だけどあまり痛みを感じない。

ベッドの上で暫くの間気を落ち着かせてから布団を引っぺがし、部屋の電気もつけずに、調べ物をするためパソコンのある机へ向かう。

〈バタバタバタバタ…〉

パソコンの電源を付けようとしていると外から騒々しい音が聞こえてきた。

「何だろう…随分煩ずいぶんうるさいな。」

ベッド際にある窓に目をやると

〈ピカッ‼︎〉

暗いオレンジっぽい色の出る豆電球だけを付けていた事もありカーテン越しからでもわかるまばゆい光に目を細める。

〈ゴロゴロゴロゴロ〉

と、まるでダイナマイトでも爆発したかのような音が鳴り響きあまりの音に一瞬家が揺れたような気がした。

「どうやら外は尋常じゃ無いくらいの嵐みたいだな…。まさか神様が怒ってるのかな…?」

思わず言葉が出てしまう。

(『雷』という言葉の由来は確か『神鳴る』だったっけ)

昔高校で教わった事を思い出す。

「あの頃から俺は科学者を目指してたけど、そういう迷信の様なものは結構信じるたちで、高校で教わった後、いろいろ調べたっけ」

また、思わず口から言葉が出ていた。

「…ははっ」

自分で自分を嘲るような笑顔を浮かべながら、人間族ってのは思ったより強い生き物かもな、と純粋に思った。

(さっきまでは死のうとすら思っていたのに昔を思い出すなんて。いや、もしかしたらこれが走馬灯か?)

ははは、と先ほどより少し大きめの声で俺は笑う。元々、可笑しな事ばかり言うようなやつだったからか、それともとうとう壊れたからなのかは定かではないがそんな事を考えていた。

普通、これだけじゃ走馬灯だなんて思うわけがないのに。

…さっきの笑いは心に余裕があるからかも知れないとも思うようになった。

(どうやら俺はまだ死にそうに無…)

《助けて…‼︎》《何でこんなっ!》

「ッッ‼︎」

まただ。

あの悲鳴が…彼らの、彼女らの悲鳴が頭の中で何度も何度も木霊こだましている。

あの時は何日かすれば忘れられると思っていた。

でも、忘れる事ができなかった。

いや、忘れるはずがない。忘れてはいけない。

それは分かってる、分かってはいても心が、身体がついてこない。

(やっぱり駄目だ。心も身体も持たない。

いい加減、楽になりたい。)

あの日、死んだような眼でホームセンターに行き、自分の腕と同じくらいの長さの麻縄を二本と10枚入りの安い作文用紙を買い、自室のテーブルの上に置いた事を思い出した。

(あの日は確か帰ってきた途端床に突っ伏して寝たんだっけ)

おかげで命拾いしたんだよな。いや、むしろあのまま…

ピカッ!

《ゴロゴロゴロゴロ〈パリンッ〉ゴロゴロ‼︎‼︎》

さっき以上の音で神様が鳴り出した。

《バタッバタバタッ》《ビュオォォ》

「なんだ⁉︎」

突然の事にパニックを起こした。

雷が鳴ったかと思ったらいきなり窓が割れた⁉︎

「まさかそこまでの威力だったのか⁉︎」

(いや、違う⁉︎)

カーテンのおかげで割れたガラスの破片はあまり飛び散らずに済んでいた。お陰で俺は怪我をしていない。ただ、重要なのはそこではなく…

《ゴロゴロ‼︎》

またしても大きな雷が鳴り始めた。その稲光でさっき見た光景を確かめてみると、やはりベッドの上にはびしょ濡れの女の子がいた。

「えーと、えーと!えーっと?えーっとぉお⁉︎」

壊れたラジオの様に同じ言葉を繰り返すが何が起きたのか、その答えは出ない。

しかし、何をするべきかは混乱した頭でもすぐにわかった。

(兎に角この子を助けなきゃ!)

尋常じゃない程に濡れている彼女の直ぐ側まで寄って見てみると、身体はほぼ無傷だった。が、

(なんだこれ…?)

部屋が薄暗いのもあり、見えなかったものが近くに行くとはっきりと見えた。

嵐の中、更に窓から突っ込んできてほぼ無傷の時点でおそらく人間族ではないと言うのは分かった。

ただ…

(どういう事なんだ?)

俺が驚いた理由は、ところどころ破れている服から覗かせる鱗のようなものが見えたからだ。

確かに鱗を持つ生物は多くいる、けれど、ワニや蛇のそれとは違う。

明らかに攻撃的な、それでいて体を守る頑強な鎧のような、そしてまるでほのおを蓄えているかのようなその紅さ。

少なくとも俺の知る中ではこんな鱗をもつ生物は一種類しかいないーー正確には存在するかもわからない生物なのだがーーこれは…

(ドラゴン)

恐らく、いや間違いなくドラゴンだ

けれど、俺の記憶が正しければドラゴンとは空想上の生物であり、人間の好奇心、恐怖心、創造力、妄想力といったもの、それらがあわさる事で産まれ出た、存在しない生物のはず。

だが、現に目の前の少女には今現在確認されている生物が持つものとは明らかに違うものが有った。

(次から次へと訳がわからない!何なんだ!一体⁉︎)

色んな考えが頭の中で渦を巻いている、だけど、今はやれることをやろう。

先ず、電気を付ける。それから少女の小さい肩を軽く叩きながら問いかけ

「おい!大丈夫か⁉︎しっかりしろ‼︎」

反応はない。どうやら気を失っているようだ。それもそうだろう。普通なら身体を使い窓を破るほどの威力で突っ込んで来るだけでも異常なのに、外はあの様な嵐だ。多分強風に煽られこの華奢な体ごと吹っ飛ばされたんだろう。普通、吹っ飛ばされたら混乱するだろうし、そのまま強風と窓との板挟みだ。衝撃は逃げ場を失い、体の中心へ向かう。混乱した中の唐突な、しかも強力な痛みだ。意識が飛ぶのは自然のことだろう。意識が飛ぶだけで済んだんだ。どうやら多少の擦り傷はあっても致命的な怪我や骨折などはしていない。これは殆ど奇跡に近い。

…とは言っても、ドラゴン型のケモン族がどの程度まで頑丈か分からないから奇跡といえるのかはわからないが。

「おい!しっかりしろ!」

もう一度問いかけてみるがやはり反応はない。

時間にしてたった数分の事だったがベッドがグショグショに濡れていた。それでも濡れた少女の服からは水が溢れているように見えた。

(こりゃまずいな。このままだとこの子、風邪引くぞ)

そう思い、テーブルの上にあるタオルを取り、少女を拭き始めた。

(小さなタオル一枚じゃほぼ無意味だな)

少女の頭を撫でる様に拭いただけでも持っていたタオルは吸い取れる水分量の限界の量まで達していた。

(一旦、浴室に行ってバスタオルを取ってくるしかないかな)

「ごめん、少し1人にするよ」

仕方なく少女を濡れたベッドの上にもう一度寝かせると急いで浴室へ向かった。

ーーーー ーーーー ーーーー ーーーー ーー

細心の注意を払いながら一通り少女の体を拭き、一緒に濡れた服を俺の服への着替えも済ませた。

ちなみにその間俺は自分自身に

(これは仕方ないんだ、この子を助けるためなんだ。)

そう暗示をかけながら一連の《仕事》を行った。

…だって、しょうがないよね?そうでもしなきゃ…ねぇ?

俺は少女を隣の部屋へ連れて行き、床に引いた客人用の布団に湯たんぽを入れ寝かせた。

(酷く疲れた…全く何なんろうこれは。)

けれどもまだ休むことはできない。俺の部屋の割れた窓を早いとこ塞がなければ。

(窓…一応の処置はしといたけど)

少女を着替えさせる少し前にカーテンの端を四角く囲む様にガムテープを貼っておいたが、あんなものじゃ本当にただの応急処置でしかない。

俺は別の部屋にある戸棚からブルーシートとダクトテープを取り出すため、部屋を後にしようとした。

「また1人にさせちゃうな、ごめん」

さっきの様に独りでに出た言葉だった。

多分聞こえてないよな。

今更ながらちょっと恥ずかしい(笑)

「…じょ…ぶ…」

「⁉︎」

唐突に聞こえたその言葉に驚き振り返ると

まだ朦朧としているだろう意識の中、どうにか作り出した優しい笑顔をこちらに向ける少女がいた。

「おまっ!」

ドアノブまで伸びていた手を戻し、急いで少女の元へ駆け寄る。

「よかった!意識が戻ったんだ!」

近くで声をかけるが少女からの返事はない。が、気を失っている訳ではなさそうだ。

(今度は疲れて眠ったんだな)

一先ひとまず安心した俺は予定通り自分の部屋の窓を直す事にした。

ーーーー ーーーー ーーーー ーーーー ーーー

荒れ狂うブルーシートとの格闘の末、どうにか闘いに勝利した俺は少女の眠る部屋の布団の側に座っていた。

時刻を見ると置くタイプのデジタル時計は22時を示していた。

(何時に少女が家の中に来たのかがわからないからどのくらい時間が経ったのかがわからないな。)

少女の意識が一時的に戻ったので取り敢えずの安心は出来たが、それでもまだ何が起きるかわからない。

なので俺は少女が起きるまで寝ない事にした。

(ま、どちらにせよ状況を説明しなくちゃならないからね。都合がいいっちゃいいのかな。)

時計を見ると既に30分も経っていた。

(たったこれだけの事を考えてるだけで30分か、やっぱり相当疲れてる。)

目の前では安らかな顔で少女が眠っている。

ゴタゴタが片付いたおかげでようやく少女の事をしっかりと見る事ができた。

暗闇や忙しい中では性別や体型位しか分からなかったが、電気のついた部屋で見ると色々分かった。

髪は鮮やかな紅色をし、綺麗なセミロング

顔立ちは、寝てるので目付きや瞳の色はわからないが少なくとも「美」のつく少女である事に違いはない。

ちなみに体型はスラリとした陸上選手のような身体つきだ。女性が最も気にするであろう部分は走る時に邪魔にならない仕様になっている。

(んー、何だろう、これじゃまるで俺、変態みたくないかな…?)

少女を品定め…と言うと語弊があるが、その様にしながら見ていたので、第三者が見ていたらきっと通報するだろう。

(ち、違うんだ!俺は別にヤラシイ目で見てたわけじゃあ無いんだ!ただ、どんな子かなぁ〜、って思っただけで‼︎)

誰に見られてるわけでも無いのに言い訳をする。その内容はさながら犯罪者の様でした。

「って!アホか‼︎」

やっぱり相当疲れてる!この子にゃ悪いが早く起きて欲しい!そして早く俺を眠らせてくれ!

「つーかこれじゃこの子に寝かして欲しいみたいじゃん!」

「…ぅ」

大きめの声で1人漫才をしていると、想いが届いたのか目の前の少女の小さな口から吐息が漏れた

「おぉお!もしかして起きた⁉︎起きたのかな!」

俺はこの時、若干ハイになってたのかもしれない。夜遅くまで起きてるとすごくどうでもいいことで笑いが止まらなくなったりするアレだ。

「…ぃ」

「ん⁇」

相当嬉しかったのだろう。勝手に顔の筋肉が緩んでしまっている。

少女が起きた事が嬉しいのは勿論だが、それよりもこの地獄とも言える時間が終わる。さぁ早く俺を眠らせてくれ!

いやだからヤラシイ意味とかそういうのではなくて。

《ドガッ‼︎‼︎》

「⁉︎⁉︎えっ⁉︎」

「うるさぁぁい‼︎」

後で気付いた事だか、その時俺は人の限界を超え翔んでいたらしい。

ーーーー ーーーー ーーーー ーーーー ーーー

(何だろう、尋常じゃ無いくらい頭が痛い)

「って! ホ ‼︎」

(クラクラする。)

少し耳鳴りのするまま聞こえてきた意味不明な言葉。何を言ってるんだろうか?

いや、それよりもここは何処だろ…う?

(ちょっと待って、そもそも私、だれ?)

可笑しい、何も思い出せない。今は西暦何年?何月何日?昨日の晩御飯は?いや、今朝の御飯は⁉︎どれだけ考えても何も思い出せない。何か覚えてる事は⁉︎

んー何も出てこない☆キラッ

(待って待って、怖い怖い怖い怖い、何々何々⁉︎)

「つー この子に寝かして欲しい!」

まだ聞こえるわずらわしい声。

(いや、私に寝かして欲しいってどういう事⁉︎気持ち悪っ!)

頭痛が激しくなってきたせいかこの煩わしい声が私の脳をじかに刺して来る様な感覚に襲われた。

どうにか止めてもらわないと。

「…ぅ」

駄目だ上手く喋れない。かなり身体がやられてる。

《おぉお! きた か⁉︎ のか!》

よくよく身体と話してみればあちこちが痛い。いや、それよりも酷い頭痛をどうにかしなくちゃ!

「…ぃ」

「 ‼︎⁉︎」

さっきとは比べものにならない程頭が痛い!

兎に角どうにかして静かにしてもらわなければ‼︎

全力で

今までに無い程、喉に、腕に、全身に起き上がり話すための力を込め、全力で

「うるさぁぁい‼︎」

《ドガッ》

あ、まずいかなり良いのが入った。

何故か私は、助けてくれたであろう男の人に右アッパーを喰らわせていた

「⁉︎⁉︎えっ⁉︎」

その時目の前に綺麗な鳥が見えた気がした。

いかがでしたか?

面白かったでした?

え、まぁ、少し短かったですかね(-。-;

次回をお楽しみに

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