中学入ったら早速コーラスに魅せられた件
初投稿になります。まだ未熟ですが定期的に更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。ご意見等をいただけると嬉しいです。コーラスというものに目覚めた女子中学生、有森優莉のコーラス部ライフを描いていきたいと思います。
例年よりは暖かいがそれでも寒い冬。1月18日。厚着を着込んだ女子たちが、両親に見送られながら次々と厳かな(でもまだ工事中の)門をくぐっていく。
うち有森優莉も例外ではない。
“今日うちの人生が決まるんや。楽しんでいかへんとなぁ!”
今日は中学統一入試日。うちは関西屈指の最難関校、秦峰女学院を受験する。
「ライバルは250人。文系のうちの力が理系が多い中でどれくらい通用するか試してみるチャンスや!」
このときのうちはハイになりすぎておかしくなっていたんだと後になってから思った。
秦峰女学院の体育入試も無事終わり、1月21日。合格発表日。ボタンをクリックするだけでうちの人生が決まる。不思議とうちは何も感じなかった。母が震える手でボタンを押した。表示された画面を見た母はスマホを机に置くと突如として嗚咽を漏らしながら泣き始めた。不思議に思いながら画面をのぞくと、
【おめでとうございます。あなたは合格です。】
のちょうど20文字。
“なんや受かってたんや。よかった。これで森脇と学校に行ける。森脇も絶対受かってるっしょ。”
小学校のクラスが荒れすぎてストレスがたまり切っていたうちはこのとき、
「合格」という事実を確認しただけで別にそれ以外の何の感情もわいてこなかった。この時の自分は異常だったと思う。
合格発表から3か月と1週間ちょっとたった4月1日。
再びうちらは門をくぐった。1か月前の靴やジャージの採寸で誰が受かったか確認していたため、『自分は一人かもしれない』というような恐怖は皆無だった。逆に小学校を卒業し、ストレスから解放されたうちはこれからの学院生活へ心を躍らせていたのだ。
うちらは教室に集合したのち講堂の席に着席した。
ちなみに入学式は4月6日。じゃあなぜうちらが学校に来たのかというと…。
「只今より、2025年度J1デイキャンプを開催します!!!」
教壇に立った先輩がそう告げた。
J1デイキャンプとは入学する前にみんなが親睦を深め、楽しい雰囲気で学校生活をスタートできるようにするために60年以上続いている企画…らしい。
駒はどんどん進んでいき、入学式の練習。先生が生徒の名前を読み上げる場面。D組のとき。
「西川…りあの!え、ん?あ、すみません。。西川璃乃亜!」ドッと盛り上がった。
…読み間違えられた西川璃乃亜はこれからのうちの学院生活にすごく影響するとても重要な人物だと、この時は全く思いもしなかった。
その後いろんなレクリエーションを通して親睦を深めたうちらはついに入学式当日を迎えた。
秦峰女学院は制服がないため、みんな『なんちゃって制服』なるものを着込む。
塾時代からの友らと写真撮影を終えるとそのまま講堂へ直行した。
うちら新J1が入場し、西川璃乃亜も読み間違えられずに無事進んだ。
“えっと次のプログラムは…”
うちがプログラムに目を落としたその時…!
てーんのくににおられるーわたしたーちのちちよーー
美しい讃美歌の歌声がどこからか流れてきた。
『本学院Jコーラス部 ルター「主の祈り」』
“これがここのコーラス部の歌声…。ソプラノもアルトも互いに邪魔しあわないほどの声量で、いつまでも聞いていられる。うちもこのメロディの一部になりたい!!”
初めて有森優莉がコーラスというものに関心を抱いた瞬間だった。
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