転移酒場のおひとりさま 反省会場
一応の完結としました。かくて、さすらいの風来坊ヨランタさんはホームと、己以外の大事なものを獲得するに至りました。というところで、放ったらかしにした設定は少なくないですが、あくまで主題は酒と飯なので。酒と飯を離れて延々と語っても、皆さん興味ないでしょう。
ここまで全部で97話。思ったよりも多いような、少ないような。
実は最初に書いたのは『万願寺のタイタンと松の翠』を短編として、去年の7月になろうに投稿したものなので実質的にはちょうど1年の執筆期間です。
七本槍編までを短編で書いて、もうちょっと行けるかなと〝乾坤一〟〝雁木〟まで書いて、連載版としては導入が暗いかなと思って急遽、最終回用の酒予定だった〝村祐〟を序文にして投稿し始めた、と言う運びです。
短編版との違いは店主にマーチンの名前がついただけ。ですが改めて自分で読むと〝松の翠〟だけノリが違いすぎて笑えますな。でもあの調子で百話は絶対無理。
web小説の基本は1話2500字前後、というノウハウからいえば、本作は1話3~4x00字になってるので、文字量は話数と比べるとずいぶん多めになっております。単純に切りどころが難しくて長くなった感じで、PV稼ぎを考えればやっぱり短いのが正解かも。
途中でカクヨム公式様の特集に取り上げてもらって、まぁプチバズと言ってもいいんじゃないか程度には読者様にお越しいただけたことは大いに励みになりまして、以降の週刊ペースを維持できました。それまでほぼ無風だったのに、ささやかながらのラッキーはあるものです。その後は、まぁ。
【主人公のこと】
ヨランタさんは前作の前の習作の主人公で、それは残念な感じになったけど未練はあったので再登場してもらいました。グルメものらしからぬ我の強いキャラであったとしたら、そのせいかも。
今作のテーマは恥も何もなく自己投影したものを書いてみよう、と定めていましたのでマーチンについては、まさにそういう感じです。自分はモテないけど、彼ほど必殺の資産があれば、あるいは。
今思えば〝女子高生がおじさんの趣味をやる〟系の亜種として年齢不詳女子(若い)3,4人組の居酒屋巡り話でもよかったかも知れぬ。出来る気がしないからこんなところに書くのだけれども。
【焼物の酒器について】
器については、書けば書くほど面倒くさいし通じない、ことは承知の上で、でも自分の趣味全開で、日本酒がテーマなのに描写抜きは許されないよね。という気持ちでいちいち書き込みました。
金継ぎの話や伊万里の大皿が割れる話などにはコメントも頂きましたので、自分で思う以上にお客さんにも通じていたようで心強かったです。もっと流行ればいいのに。
【音楽について】
ものを書いてる最中には音楽を聞きたくなるものです。特にこの話はシラフで書いている部分がないので、無音の酒場も物足りないもの。つい触れておきたくなる要素でした。タイミング的にも、特集効果が落ち着いてしかもヨランタ虐待で客の激減が見込まれていた時だったので、テコ入れのためにも。なったかどうかは、神のみぞ知る。
もし商業化のお声がかかるならばっさり差し替えになる要素ではあるなぁという取り越し苦労をしたこともありました。
【花、動画、和歌について】
花は、リアルタイムで梅桃桜の季節に差し掛かった喜びのあまり、自然に入りました。ただの趣味以外に何の狙いもありません、が、お刺身のたんぽぽみたいなもので。マーチンの拗ね者感の演出には花を添えられたかも。
しかし陶器やら音楽やら花、と添え物に毎回字数をかけても仕方なく、さらに話の流れで動画やら掛け軸の和歌やら、ちょっと脂肪がつきすぎて収拾がつかなくなっているのが辛くはありました。要ダイエット。
【章立てについて】
そもそもは〝どこからでも、好きな部分だけ拾い読み〟してもらうためのコンパクトな表示にする狙いでした。本筋が無駄に続き物になって拾い読みできない話になったり、当初の〝つもり〟を倍以上超える量になったりしたので、ただウザいだけの仕掛けになったかもしれません。
でも、これだけズラリ並べるとなかなか良いハッタリにはなっているかも。
【酒のこと】
メジャーからローカルまで、名前だけちょっと登場願ったものを含めると50種前後(無断で勝手に)紹介させていただきました。基準は曖昧で、〝獺祭〟〝十四代〟〝新政〟とかの有名高級銘柄は、いまさら私が持ち出すのもどうか。みたいな遠慮で避けましたが〝田酒〟は出させてもらいましたし。気分とか、好み、その時の勢いが理由です。
大神神社の酒〝みむろ杉〟は正月過ぎに登場を予定していましたが、お参りした参道で落枝に頭を殴られましたので、神様に拒否られたという判断でキャンセル。そんなこともありました。
料理も酒も基本的には知ったものだけで書きましたが、酒の銘の細かい部分を省略しがちなのは忘れていたり正確さを期することが難しかったり、のためです。筆者は雑な奴です、あしからず。
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以上、またもや無用のことを書き連ねました。ツッコミどころ、誤字誤用の類はあまたあると思いますので随時コメントくださいますよう積極的にお願いします。
では、また。