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エイルの気持ちを知りたい。

エイルを追いかける喪女レイセルが描いてみたかった。前作でルーナとエイルの別れのシーンが物足りなかったので、短編で書いてみました。

 1週間後レイセルは何とか治癒と解毒を終えて退院していた。体調は完全では無かったがベルセルクの惜しみない看病の甲斐もありなんとかレイセルの体力も回復しつつあった。


 レイセルは、エイルの居る拠点には、戻らずベルセルクの屋敷であるフィンレイ伯爵邸に身を寄せていた。


 レイセルはエイルに会いたい気持ちもあったが、入院中に一度も見舞いに来ていないエイルに、どんな顔をしてあって良いのか分からなかったのだ。


 伯爵邸では何不自由ない快適な生活を送っており、衣服も冒険者としての服では無く、基本的にドレスを当てがわれていたためなんと無く落ち着かない生活をしていた。


 ギルドに報告がてらに顔を出した時もドレス姿のレイセルは、いつもの質素な法衣では無く淡い桃色の簡易なドレス姿は、普段は飾らないレイセルとは異なり可愛らしい姿だった。


 『おいおい、今日のレイセルちゃん可愛いな。』『知ってるか?エイルとベルセルクがレイセルちゃんを賭けて決闘したらしいぜ。』『じゃあ、エイルの顔が見えない所からすると、ベルセルクが勝ったのか・・・』『エイルはルーナに未練タラタラだったからな。レイセルちゃんに愛想尽かされたかな。』『しかし、よくエイルに勝てたな、流石は宮廷の聖騎士団長と言った所だな。』ギルド内でも話題となっていた。


 今回の困難な依頼の達成は、レイセルとベルセルクの評価を挙げていた。誰もが彼等に対して好意的でありエイルにはあまり良い評価は上がる事はなかった。


 依頼案件の達成報告に現れた彼女は、ギルド内でも華やかに着飾っておりレイセルの姿は普段には無い注目を集めていた。


 とは言えレイセルは余り目立ちたがる様な性格ではないので、ベルセルクの影に隠れる様にしていたが、寧ろ目立ってしまっていた。


 「お疲れ様でしたレイセル様、今回の依頼達成をもって貴女はSSランクに昇格です。」「おおぉ!」ギルド受け付け前に歓声があがっていた。


 レイセルはエイルよりも先にSSランクに昇格してしまったのだった。


 そんな中バツが悪そうにエイルがギルドに入ってきて、レイセルと鉢合わせる。


 レイセルは最初は驚いた表情でエイルを見つめていたが、久しぶりかの様に語りかける。


 「えっとぉ・・・あの後身体の怪我の方は大丈夫だったの?」レイセルは少しばつが悪そうに頬を赤らめて話し掛ける。


 「あぁ、君が間に入ってくれたから何とか自分で回復が間に合ったよ。」


 「良かった。・・・あのぉ・・・私の為に決闘なんかさせてごめんね。結果は気にしないでいいからね。後は私が決める事だから・・・」少し戸惑いながら俯いて黙り込む。


 「いずれにせよ、エイル君には選択の権利は無しだ。よく覚えておいて置いてくれよ。」ベルセルクが口を挟む。


 「ベルク?私を身染めてくれてありがとう。でも今は私もどうして良いか分からないの。ごめんなさい。」 


 「あぁ、分かってるよ。決心がつくまでずっとまってるよ。」ベルセルクは、相変わらず誠実なのであった。


 「なぁレイ、今まで僕らの今後の事、話した事無かったよね。少し話す時間くれないかなぁ・・・」エイルは所在無さそうにレイセルに提案した。


 エイルは、ベルセルクにも目配せする。レイセルがフラッとエイルに付いて行こうと、身体を翻そうとした瞬間、ベルセルクはレイセルを引き寄せ抱き締めるとその小さなさくらんぼのような唇を奪った。


 突然の事でエイルは呆然として見つめるしかなかった。


 「貴様、レイセルに何をする!」エイルは慌てて手を伸ばすが、ベルセルクはレイセルを護るように抱擁し続ける。


 「ファーストキスは、エイルとって決めてたのに・・・」身を震わせて涙目でベルセルクを見上げる。


 「勘違いして貰っては困るな!レイセルに触れる事ができるのは私だけだ。勝手に触れるな!」


 「お願いベルク。エイルと2人きりで話をさせて?」


 「レイセル、エイルは君を傷付ける。もう奴に近づかないで欲しい。」厳しい表情でエイルを見やるとレイセルを諭す。


 「ベルク?心配してくれて有り難う。でも、これは私とエイルの問題なの。お願い。エイルと話をさせて。」


 「はぁ・・・」仕方無さそうにベルセルクはレイセルから手を離した。


 



 エイルとレイセルは二人きりでギルドの個室に入って行った。


 エイルは良く状況が解っておらず、レイセルに矢継ぎ早に話し始める。「率直に聞くよ。レイは、ベルセルクと付き合ってるの?」


 「多分違うと思う・・・今回の危険な依頼を達成する為にチームを組んだだけだった筈なの。でもミッションが進む中でベルセルクに告白を受けてしまったの。でも・・・返事はしてない・・・」


 「じゃあ、一方的に告白されただけなのか?」


 「うん・・・」頬を赤らめて頷く。


 「ベルセルクの事が好きになったのか?」


 「分かんない・・・でもベルクの告白を思い出すと嬉しかったしドキドキするの。」


 「ねぇ、エイル?私にどうして欲しい?私の存在って貴方にとって必要?私の事好き?」レイセルは大きくて優しいブラウンの瞳を潤ませてエイルを見つめる。


 「レイが幸せになれると思う選択をして欲しい・・・」エイルは唇を噛み締め感情を押し殺し続ける。


 「突然の事だったとは言え、俺はベルセルクに負けたんだ。君を僕だけのものにする権利は無いんだ・・・」


 「・・・エイル・・・どうして行くなって・・・言ってくれないの?」我慢出来なくなったレイセルが、緊張の糸が切れた様にその場で座り込み泣きじゃくる。


 外で話を聞いていたベルセルクが突然に中に入ってきて、レイセルを抱きしめる。


 「心から愛してくれる女性に、こんな悲しい想いをさせても、正直に成れないなんて酷い奴だな。エイル!」


 「・・・おのれベルセルク・・・もう一度俺と決闘だ!今度は俺の命をくれてやっても、絶対にレイセルは渡さない!」


 レイセルは驚いて泣き顔のまま止めに入る。「もぅ、止めてってばぁ・・・」二人の前で泣き崩れる。


 「ふん・・・エイル貴様は本当にレイセルのことが解ってないんだな。これ以上レイセルを困らせるのは私の主義に反する。決闘は受けてやらない。馬にけられそうだからな。」レイセルは泣き顔をあげてベルセルクを見上げる。


 「レイセル・・・私が愛していた野に咲く白き花よ・・・これ以上君を困らせたりしない。安心してくれ。」


 「ベルク?な・・・なにを・・・」


 「さよなら・・・もう会う事は無いだろう。エイル・・・またレイセルを泣かせたら、今度こそ許さない。憶えておけよ・・・」ベルセルクは足早にギルドを出て行った。


 今回の件は、ベルセルクがエイルとの再戦を辞退する事で終結したのであった。そしてまた、ルーナとの思い出に現を抜かすエイルを追いかけるレイセルが見られる日常が戻って来たのだ。







最近スランプ続きですみません。御閲覧お願い致します。一巻の終わりです。

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