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初任務

[これで宇宙連合の一員ですね]


アルがカークトゥに戻ると、天使が先に声をかけてきた


もう知ってるの?力添えをありがとう

私から報告しようと思ったのに

カークサス、無事に連合入りできました


(そなたの心が受け入れられたのだ)

(カークトゥ星人は人口が増えない稀有な存在)

(連合にいるカークサスの功績が大きい)


おしゃべりなカークサスがいつも以上に賑わって、アルの報告を喜んでくれた



初任務へ行く前に、カークサスからアルに贈り物を渡された


(これは、そなたを守ったクリスタルだ)


小さな光の破片がアルの中に溶け込んで、心が熱く感じた


(これからも、そなたと共にある)

(迷いや恐れ、悪の道からそなたを救う御守りとなるだろう)

(光が、いつでもそなたをそなた自身たらしめる助けになる)


アルは、カークサスの皆の思いがとても嬉しく、ありがとう、本当にありがとう、と伝えた


(我々も常にそなたと共にある)

(我らカークトゥの同志、アル)

(アルとある、ぷっ)

(大いなる全てとして最善を尽くすものであれ)


皆に見送られ、アルとDPはテラへと飛び立った

前回と同じように連合のポータルを使い、テラの近くまで来た

次のポータルでテラの地表へと降りる


“ここは次元が低いから、実体がいる”


なりたい姿を思い浮かべればいい、とDPが教えてくれた


なりたい姿?アルは何も考えていなかったので困った

ライラ星にいた時のアーリンの姿ではなく、もっと強い別の…


私も自由に飛べる翼が欲しい

火山の上でも平気な翼が


“火の中を飛ぶ翼か、アレだな”


DPがアルに映像化したイメージを送ってくれた

炎の鳥?


“鳳凰という火の鳥だ、降りるぞ”


ポータルを通過すると、アルの姿は真っ赤な燃える翼をした火の鳥に、DPはいつもよりも少し小さく長細くとぐろを巻いた青い龍の姿になった


青龍と鳳凰はテラの上空高くで、地上を見下ろした

初任務、開始!



まずはテラ全体を把握するために、空から地形を見てまわった

事前の情報通り、海水が大部分が占めており、大陸部分は大きく六区画に分けられる

テラの自転により太陽が当たる側と影になる側ができる


絶滅する種の保存は大陸部分が殆どなので、6回に分けて調査を行うことにした

地面が乾いた砂の地域へと最初に降り立った

鳥の姿のままでは採取ができないので、アルは半分人型、半分火の鳥という、翼のある鳥人のような格好になった


植物に関しては簡単に採取できたが、生物は捕まえて一部を取る訳にもいかないので、死骸や骨、あるいは卵の状態で集めた

採取した物は、連合の物質倉庫へ直通のポータルへ送る


単調な作業だったが、見る物全てが珍しいので、アルは全然退屈しなかった

そのうちにDPが飽き始めてきた


“見た目は大して変わらないが、中は大違いだ”


恐竜の群れを見ながらDPが言う


“外側なんぞ、まやかしだ

心を見ろ、何でも”


DPと恐竜が一緒だなんて思わないよ

恐竜は純粋でかわいい赤ちゃんみたい


“不純な遺物で悪かったな”


ちと休憩、とDPは姿をくらました

アルはひとりで調査を続けた

テラの太陽が当たる時と影になる時を15回繰り返した頃、一区画辺り終了した

いつの間にか戻っていたDPと合流して、初回はこれで帰ることにした


二回目まではDPも一緒にテラに降りていたけれど、三回目の訪問からは、宇宙のポータルまで送るとここで待つ、とDPはテラまでは来なくなり、アルがひとりで任務へ行くようになった


アルも手順に慣れて、当初の予定よりも早く進んだ

余裕もできて、恐竜と戯れて遊んだりして楽しんだ

この子たち皆、絶滅してしまう運命…

そう思うと、採取の作業にも力が入った


生まれては死に絶え、誕生しては絶滅する

ライラ星のように消滅してしまうこともある

永遠に変わらないものなど無い

帰り道に少しだけふさぎ込むアルにDPが声をかける


“滅びてもまた生まれる、また新たに生まれてくる”

“宇宙は永遠に繰り返し続く”


DPは滅びないね、と笑うアル

ずっと一緒にいてね、とDPの背中にくっ付く

気のせいかDPが少しフラついたように飛んだ



6回の採取を終えて、全体的な取り残しを確認する最後のテラ行きになった

ラスト1回ということで、DPも一緒につき合うことになり、テラへと向かった


宇宙から見るテラはいつもと変わらず、美しく輝いていた

が、地表へと降りるポータルを通過したアルとDPはすぐにたいへんな目に遭う


真っ暗な上空に砂嵐が吹き荒れて、地上では生物たちが騒ぎ回っている

吹き荒れる風と地面が揺れる地響き

火山活動が激しくマグマが至る所で噴き出している


“どうなってやがる”


砂嵐に耐えながらDPが戻るぞ!と大声で言った時、強い衝撃と共にDPに岩石がどこからか直撃した

火山岩に巻き込まれたDPは、そのまま地上へと落下した

DP!!

アルも急いで後を追った


火山の中腹で岩石の下敷きになったDPを見つけ、助けようとするが身動きが取れない

マグマが流れ落ちてきて危険な状況だ

一刻を争う

迷っている場合ではない




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