手作りの漬物と梅干が市場から壊滅!? 改正食品衛生法猶予期間終了について
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は6月1日から食品衛生法改正の猶予期間が終了することに伴い、
漬物農家が引退してしまっているという事実について触れていこうと思います。
◇食中毒を防止するための法改正
質問者:
え!? いつの間にそんなことになっていたんですか!?
筆者:
道の駅などで販売されている漬物はその地域のこだわりがあり僕も買ったことがあります。
ただ、現状そういった漬物農家は廃業しつつあるのです。
地域によっては出品者の9割が廃業してしまったところもあるそうです。
質問者:
いったいどうしてそんな法改正になってしまったのでしょうか……。
筆者:
これまでは漬物の製造販売について届出制だったのですが、
平成24年に札幌市のメーカーが製造した白菜の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌(O157)による集団食中毒が発生、8人の死者が出たことなどを受け、食の安全確保の観点から平成30年から断続的に法改正がなされて行き、
漬物製造業は令和3年6月、「許可制」の対象になりました。
そこから3年間の経過措置期間が今年5月31日で期限を迎えるため、
その時点までに許可を得ていない業者は漬物の販売ができなくなるということです。
※売ることはできると思いますが“違法営業”と言う扱いになると思いますので、すぐさま取り締まられることになるでしょう。
質問者:
具体的にどのような新しい基準があるのでしょうか?
筆者:
僕が調べたところによりますと、
・温度が分かる冷蔵設備
・壁や床が水洗いできること
・台所とは別に作る場所を用意すること(製造場所として家の台所との兼用はできない)
・触らないで蛇口をひねることできること
・洗い場を3つ作ること
など数多くの要件を満たさなければ許可を受けることが出来ないようです。
特に冷蔵設備や洗い場についてはお金が結構かかりますので最低でも150万円ぐらいの投資が必要になります。
この一連の流れを受けて秋田県などの地方公共団体で新規投資に関する支援はあるそうですが、
国の支援は無く、住んでいる地方公共団体によっては新規投資がままならずに廃業に追い込まれてしまうという事です。
また家で作っている場合にはそもそもそんな場所を置くことすらできないでしょうね。
質問者:
確かに、道の駅の商品ってそこまで安くは無いですけど利益もそんなに出ている感じはありませんからね……そこで150万円の投資は厳しそうです。
筆者:
元々、コロナによる観光地への人出減で、売れ行きがそもそも減少。家族経営の小規模業者では後継者問題も長年の懸案だといい、「ダブルパンチ、トリプルパンチのような状況」と言った記事もありました。
そして今回の法改正の猶予期間終了でいよいよ廃業を決断したという事のようですね。
質問者:
世知辛い世の中ですね……。
筆者:
まぁしかしながら、食品衛生について日本でも関心が高まっていますから
ある意味では致し方ないのかなと思います。
ただ、「ふるさとの味」みたいなものは今後無くなっていくでしょうね。
◇国際標準にするなら添加物もするべき
質問者:
しかし、いったいこの規定はどのようなことで決められたのでしょうか?
今まで届けるだけでよかったのに……。
筆者:
この食品衛生法の新しい規定と言うのは国際的な食品衛生管理手法「HACCP」の考え方を取り入れたものです。
しかしここで気になるのは、「国際的な基準」という事で衛生状況は揃えるものの添加物に関しては欧州などで禁止されている添加物が採用されているという事です。
質問者:
漬物に関してはどのようなモノが欧州では禁止されているんですか?
筆者:
特に「黄色いたくあん」に多く含まれているものなのですが、
着色料の「黄色4号」は、アルミニウム化合物を含むものがあります。
アルミニウムは、複数の研究により、子どもの発達障害やアルツハイマーとの関係が指摘される危険な添加物として認識されており欧州では禁止されています。
次にたくあんに含まれている可能性がある「サッカリンNa」の特徴としては、一般的な糖の甘さの300~500倍の甘みを持つ甘味料で脳の神経を麻痺させることがあると指摘されています。
欧州では禁止されていないものの「E954」と注意の表記が義務付けられています。
台湾では輸入が禁止されており、タイからのサッカリン添加物の食品を送り返したという事件が2017年にありました。
質問者:
なんと! あの黄色くて美味しい「たくあん」にそんな裏側があるとは思いませんでした……。
筆者:
僕も子供の頃、無知で結構パクパク食べていました(笑)。
1パック全部を1人で食べたこともありました(笑)。
厚生労働省の見解では上記の「グレー」とも呼べる添加物全般について、
「全部少量ずつだから大丈夫」と言う話のようですが、
そう言った添加物の種類と言うのは結構多いのでやはり注意しておくことに越したことは無いでしょう。
複数の添加物を同時に摂取した場合の影響などは研究で明らかにされていないのも事実ですからね。
◇添加物のリスクを知った上での決断をすることが大事
質問者:
こうなってくると、いつも筆者さんがおっしゃる「バランス」と言う話になりそうですね。
筆者:
そうなんですね。別に市販の黄色いたくあんを全否定しようとも思いませんし、僕だって忙しいときは市販の漬物を買います。
ただ、時間が余っていたりした場合には梅干しや漬物を自分で作ったりして食べていますね。
リスクを把握しつつ人生の限られた時間をどこに投資するのかを常に考えている感じです。
自分で作れば少なくともどういったものを使ったのか? という事は把握できますし、作ってからどれぐらい経ったのかも分かりますからね。
質問者:
ただそれは本当に時間がかかりますから全体のバランスを見極めることが本当に重要という事ですね。
筆者:
去年梅干し初めて作ってみて、そろそろ梅干しの季節ですが、正直大変でした(笑)。
塩漬けにして、赤紫蘇を加えて、天日干しにするという3過程が必要でしたから……。
(漬ける塩が精製塩では無く岩塩や海塩であれば尚のこと安全になります。
ただ今年は全国的に梅不足であることから梅干しを漬けたい方は国産梅は見つけ次第購入することをお勧めします。)
ただ、自分で作ったという手間や心理的なモノもあるのかもしれませんがとても美味しくて安心して食べられましたね。
今年も梅が売っていたら買って漬けてみようと思いますね。
※ちなみに今回の法規制の「漬物」には「梅干し」も含むそうです。
質問者:
結構手間がかかる感じなんですね……。
筆者:
食卓を色鮮やかに、簡単に買うことが出来る――ただそこの裏には“色々とある”という事を念頭に購入していく必要があると思いますね。
仮にそういった添加物が少ない漬物を店頭で見つけた場合は「結構手間をかけて頑張っているんだろうな」と感謝して食べることが大事だと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は食品衛生法の猶予期間が終了したことにより漬物の「ふるさとの味」が壊滅的打撃を受けているということ、そして添加物が多い漬物が多く占められていくこと。
添加物には功罪があり、そのリスクを踏まえた上で行動していくべきだという事をお伝えさせていただきました。
今後もこのような時事問題や政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。