止まない雨
雨が降っていると、偶に、誰かが泣いてる様な気がしてならない事がある。
だって雨は、涙を隠すから…。
ポタポタと頰を伝い、顎から滑り落ちた雫は雨? それとも涙?
尋ねようとした時、君は振り返って、自分の存在に気付くと笑みを浮かべた。その表情は無理矢理作ったモノだって直ぐに判るヤツで、腹が立つ。
嘘を吐いてまで笑みを作る君に対しても、そうさせる自分自身に対しても…。
「雨…止むかな? 」
君のソレには気付かないフリをして、未だに降り続ける雨について触れる。
「止まない雨なんかないもの。時間が掛かっても止むわ」
空の方を見つめながら君は答えた。